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第101話
熱を出してしまった八尋
朝、目覚めると昨夜よりは調子が良かった
恐らく浬の看病のお陰だ
夜中も熱で魘されている八尋をずっと看病していた
その際浬の姿が微かに思い出される
心配そうにタオルで汗を拭いて水を持ってきたりしていた
そして寝返りをうったその瞬間目の前に浬の顔がアップで映された
浬はぐっすりと眠っている
きっと看病していていつの間にかここで寝てしまったのだろう
疲れているようだしゆっくり寝かせてあげようとそのままにした
しかしよく見てみると本当に綺麗な顔をしている
睫毛が凄く長い……
唇も女性のようにぷるんとした綺麗な形
唇………
「……っ!!」
そう意識してしまうと駄目だった
彼に引き込まれそうになる
これが吸血鬼と言う存在なのかと少し恐ろしくなる
だってこれで人を惑わすのだから
自分も彼に惑わされているのではないかと思ってしまう
「ん………」
すると浬が目を覚ました
まだ目覚めたばかりでぼーっとしているようだ
「あ、八尋おはよ
熱は?大丈夫?」
「お、おう」
近くで見る浬の顔
起きてるときは大きな目がまた魅惑的だ
すると浬の手が八尋の額に触れた
そして大分下がったねと笑顔を向けた
そんな浬に再び熱が上がりそうだった
浬はベッドから出るとご飯作るねと台所に直行した
その間八尋は顔を洗いに洗面所に立った
多少フラつくものの昨日よりは大分いい
しかし今日はどうもおかしい
浬を見ただけで心がざわつくのだ
まさか惚れた?
いや、まさか……
ただ意識してしまっているのは事実だ
浬が自分を好きなのではと言う意識
だから自分も好きなのかとも思い込んでいるだけだ
そう考えるようにした
「あ、八尋もう少し待ってて」
「ああ……」
顔を洗って着替えたりして戻ると
浬がエプロンをして台所に立っている
八尋は浬を見ながら床に座って待っている
こうしてじっくりエプロン姿を見るのは初めてだ
なんかいい奥さんになりそうだと八尋は思った
「はい、まだ病み上がりだし
重いものは無理だと思うから
フルーツとサラダとヨーグルトにしてみた
大丈夫かな?」
「ああ、大丈夫」
こうやって弱ってるときに体調を気づかってくれるのはやはり嬉しいものだ
もういつの間にか浬が吸血鬼だとかだんだんと気にならなくなってきた
そして今日もまだ少し熱があるもののバイトには行けそうと判断するも浬に絶対安静と必死に止められ結局今日まで休むことにした
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