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第102話

浬がどうしても休めと言うから八尋はバイトを休んだ 仕方なくパソコンに向かっていると それも良くないと寝てた方がいいと浬は言う しかし暇だ 体調は少し悪いものの寝ている程ではないと思うが浬がうるさいのだ さてどうしたものかとベッドでごろごろする この日は浬はバイトが休みでずっと家にいるつもりらしい ベッドに横になりながら洗濯物を干している浬を見る 考えたらこの日ずっと浬を見ているように思う とうしても意識してしまうようで八尋は大きくため息をつく もしかして本当に惚れてしまったのか しかしあれだけ嫌いだったのにもし惚れたのなら 都合のいい奴だ 「八尋大丈夫? ぼーっとしてるみたいだけど」 「………っ 大丈夫何でもない」 いきなり浬が顔を覗きこんでくるから一瞬固まってしまった 浬は本当に大丈夫かと首をかしげる その様子がまた八尋を惑わす そして八尋は浬の頬に手をやる 「八尋?」 そっと頬から唇へ指でなぞるように滑らせる この唇にキスをすれば自分の気持ちがわかるだろうか? 八尋はそんなことを考えた 「熱のせいかな…… 俺もなんかおかしい お前にキスしたらどうなんのかとか考えてる」 「え?」 衝撃だった まさか八尋がそんなことを言い出すなんてまず無いと思っていたから だが同時に胸が高まるような感じがする そして浬は気づいた もしかしたら自分は八尋に恋しているのではと…… そう気づいたらスッと心が軽くなったような気がした ずっと考えていた どうして八尋がこんなにも欲しくなるのかと それは八尋を好きになったからなんだとようやく気づいた 「八尋……ごめんね 俺八尋の事を好きになってしまったみたい 迷惑だよね、ごめん………」 「なんで謝んの?」 「だって迷惑じゃない? 好きじゃない奴から好意寄せられるの」 「別に、お前のことは嫌いじゃないし 迷惑とは思わない」 嫌いじゃない…… 八尋の言葉に浬は目頭が熱くなった だってずっと嫌われてたから受け入れてもらえるなんて夢のようだった 「俺もさお前見てたらなんか変なんだよ 多分お前と同じなのかもしれない」 「……っ!!」 それは八尋が自分を好きと言うことなのかと 浬は混乱した まさか吸血鬼の自分になんて…… 本当にいいのだろうかと……

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