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第106話

ヴァイドに重傷を負わされ未だ目覚めないルシェル もしかしたらこのまま目覚めないのではないかと アンディは心配で仕方なかった 彼はずっと眠ったままのルシェルを世話してきた 沢山声をかけ早く目覚めてくださいと訴えることしかできない それはアンディでなくともそうだった ルシェルの隣に寄り添うのはルイスだ そっとルシェルの手に触れぎゅっと握る 「兄上……どうして……」 ルイスは未だ何故ルシェルがこのような事態になったのか知らないままだった アンディに聞いても自分もよく分からないからと何も教えてはくれない しかしこれがヴァイドの仕業なのではないのかと 薄々感じてはいた 元々そう言う人なのだ 実の息子でも容赦なく攻撃してくる とても危険な相手だとルイスは近づくこともしなかった だがもし本当にルシェルに怪我を負わせたのがヴァイドなのならば復讐も考えていた 勝算などない。彼は強すぎるのだ 現にルシェルだって勝てない相手なのだから アンディが何も言わないのはそれもある ルイスがヴァイドに殺されることがあれば ルシェルの計画に支障が出るかもしれないから 「ルイス様そろそろお帰りにならないと明日も仕事がおありでしょう?」 「そんなこと分かっている お前のような無能な奴にとやかく言われる筋合いはない」 そう言ってルシェルの元から立ち上がり帰っていった けれどどうしても納得できない ルシェルはきっとヴァイドにやられた どうやって調べる?直接ヴァイドに聞く? そんなことをして彼の逆鱗に触れれば命の保証できない 「クソッ!!」 「旦那様…… このまま目覚められないのですか?」 アンディは今日もルシェルに語りかける それでも彼からの返事はない そんな中藜がここに訪れた 「藜様……」 「ルシェルはまだ目覚めないか さて、どうしたものかな」 「如何なさいましたか?」 「少しね、計画が狂った」 「……っ!!」 藜はアンディに浬が姿を消したことを話した 「……そうですか」 「まぁ計画は狂ったがこのまま進められないことはない あとはルシェルが目覚めてくれれば問題ないだろう」 そうアンディに話したあと藜は協会へと戻っていった

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