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第113話

夜遅く浬も八尋も眠りにつく時間 浬は八尋の胸の中で八尋に抱き締められるように眠っていた そんな中なにやら物音がし目が覚めた 「何?」 物音はどうやら外から聞こえる 浬はぐっすりと眠っている八尋を起こさないようにそっと抜け出すと窓の外を見てみた しかし特に異変はない 仕方ないから窓を開けてみた するとそこからバッと何かが入ってきた 「うわっ!!………こう…もり……?」 入ってきたのは蝙蝠だった 何故蝙蝠が入ってきたのかスッと手を伸ばしてみると浬の手に止まった 蝙蝠はじっと浬を見つめてくる それで分かった これはルシェルの分身の蝙蝠なのだと 彼はようやく目覚めたようだ しかしここに分身が来たと言うことはもう逃げられないと言うことを意味していた ルシェルはもうすぐ浬を迎えに来るつもりなのだ 逃げられないと分かって浬は覚悟しなければと思ったその時 「おい、どうした……?」 「八尋……」 八尋が起きてきた 目が覚めると浬がいないことに気付き暫くしても戻らないから起きてきたようだ そして八尋は浬の手に乗っている蝙蝠が目に入った 「それは……」 「ルシェルの分身だよ ここも見つかっちゃったみたい ごめん、もう逃げられそうにない」 「………っ お前はどうするつもりだ?」 八尋がそう聞くと浬は俯いた その浬を見てどうするつもりなのか予想はついた 「俺と離れるつもりか?」 「………でも、ルシェルなら分かってくれる だから……」 「あいつにそんな話が通じるとも思えないけど?」 確かにルシェルを説得するのは難しいと浬も思う けれど浬の心はもう八尋と一緒にいたいと言うことだ だからどうにかルシェルに分かってもらえるように話をしたいと思った 「………ごめん でも俺…………」 「あーもう分かった お前の好きにやれよ」 「八尋……」 「その代わりちゃんと俺のところに帰ってこい」 「………うん」

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