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第117話

「撃て」 「クソ野郎がぁ!!」 藜はヴァイドとジルを撃てと命じた ジルは藜が裏切ったと悟って藜を殺しに行こうと向かってくる そして藜の手が下がった瞬間銃弾が二人に撃ち込まれた しかも以前よりも威力の増した弾丸 実はこの弾丸は吸血鬼の血を、それも上位の吸血鬼の血を用いて作られた弾で彼らの特異な血は吸血鬼をも屠る毒へと変えた その物凄い数の特殊な銃弾が二人を襲う そんな中でジルは協会の人間に襲いかかり次々に攻撃していき藜を狙ったその瞬間ルイスが首をはねた ジルは藜の裏切りに頭に血が登りすぎて周りを見ておらず考える暇もないほど呆気なく死に 足元に転がった亡骸を見下すようにルイスは見つめ 「貴方はルシェル兄上の邪魔なんですよ やっと死んでくれた」 そう、嘲笑した そしてヴァイドの方も床に倒れている 藜は彼の生死を確認しようと彼のところへ寄っていく すると藜に衝撃が走った 藜の胸にはヴァイドの手が突き刺さっていた 「………っ!!」 「会長!!」 ヴァイドは手を引き抜くと最後の力を振り絞って その場から消えた そして藜の胸からはどぼどぼと血が溢れ倒れた そこへ帳が藜の元へと駆けつけた 「藜さん!!」 藜は帳の腕の中へと倒れ込み 帳は彼を受け止めしゃがみこんだ 血が帳ごと飲み込むかのように広がっていく 帳はその様子をただ見つめるだけでどうすることもできず彼の名を呼ぶ すると藜は帳の頬へ手を伸ばした 「帳……… すまなかった……… 柾の事も結局助けられ無かった ………それでもお前は私にそんな顔を見せてくれるのか…………」 亡くなった藜の息子で帳の父、柾 彼は協会の討伐隊にいたが吸血鬼に殺された 藜はずっと柾を助けられなかったと悔やんでいた そして再びその時と同じように帳は涙を流す 「藜さん……… 私は貴方のせいなんて思ったことなんてありませんよ だからそんなこと言わないでください」 「そう………ありがとう帳 愛しているよ、僕の可愛い孫……」 「藜さ……」 藜はもう十分だった 柾が死んだのは自分が守れなかった念をずっと背負っていたが帳は藜のせいではないと言ってくれた その言葉が聞けるだけでもう十分だった 「藜!!」 その名を呼ぶ懐かしい声がした 息を切らして藜の元へ駆け寄ってきた成長した浬 協会に帰ってきたが藜も帳もヴァイドの所だと知ってここへ急いできたのだ 「藜……なん…で……」 「……浬、大きくなった」 「藜……藜、藜!!」 浬は必死に藜の名を呼び手を握るがその手は冷たい そしてその手を浬の頬に伸ばし浬と一言残し頬から手が落ちゆっくり目を閉じて息を引き取った 「あか…ざ……… ぁ…ああ……あああ……」 浬は藜の胸に顔をつけ泣きじゃくった

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