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第120話

死なないで…… そう言って浬に血を飲ませられたヴァイド 本当にバカだと心の中で呟く それでも愛しいと思ってしまった弱みだ それを複雑な思いで見守るルシェル 今まで何のためにやって来たのか…… 藜まで失って……… 今までヴァイドがどれだけの者を死に追いやってきたと思っているのか それなのに浬ときたら……… それでも家族というだけで助けようとする 全く理解できないが浬の言動を否定することもできないんだ それもこれも愛してるが故……… ヴァイドはもういいとと浬を突き放した まだほんの少しだけしか血を飲んでいない それでも十分だとヴァイドは立ち上がる 「もういい……… 私はここから消えるから…… もう、いい………」 「ヴァイド……?」 次の瞬間突風が吹きヴァイドは消えた 浬の元から立ち去ったヴァイドは思ったよりも傷が深かったらしい 血が次々出てくる 「はぁ…はぁ……」 そのままそこで立ち止まり再び木に寄りかかった 「浬………愛してる………」 その後ヴァイドの消息は掴めなかった 生きているのか死んでいるのかも不明のままだった 「浬………」 「久しぶりルシェル 良かった無事で……」 「…………」 久しぶりの再会と言えどルシェルは複雑な思いだった ずっと浬の為とヴァイドを殺すことを考え藜まで殺られたと言うのに浬はヴァイドを助けようとした 浬の心が分からない 「浬、何故? あいつは藜を殺したんだぞ」 「うん……分かってる それは悲しいし憎いよ でも、それでも…… ヴァイドはほんとは優しいって知ってしまったから………」 ヴァイドだ自分を想って突き放したのも分かった けれどヴァイドによって沢山の人が失われたのも事実 分かっているけどどうしても失いたくないと思ってしまったんだ 「本当にお前と言う子は……… お前が幸せになれる世界をつくるために動いてたのに…… もういい、ヴァイドは最早王ではない 玉座に座るのは俺だ 浬、俺と帰ろう」 「…………ごめんルシェル 俺の事待ってる人がいるから」 八尋が必ず戻ってこいと言ってくれたから ルシェルの元へは戻れない 「あの少年か?あいつは人だ 同じ時を過ごすことなど出来ない」 「分かってるよ それでも…… 八尋が好きだから、彼と一緒にいたいんだ だからもう少し待っててくれないかな?」 今まで自分のために動いてくれたルシェル その思いを無下にしないためにもいつかきっと ルシェルの元へ戻る そう決意した

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