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第3話

 それから数週間後。  夏樹は週末を利用して市川のマンションに泊まりに行った。  土曜日が休みの週は、金曜日の放課後から市川の家にお邪魔するのが定番になっている。学校ではあまりおおっぴらにできない分、ここぞとばかりに可愛がられることが多かった。深夜から翌朝まで抱かれることもザラだ。 「……ホンットに先生は、いつも元気ですよね」  と、土曜日の朝食を食べながら嫌味を言ってやる。 「毎週のようにこんなことしてて、いい加減飽きないんですか?」 「まだ飽きないかなあ。俺も、なんだかんだ言ってまだ二十代だし。それなりに性欲も旺盛なのさ」 「威張って言うことじゃないと思いますけど」 「そうか? でも高校生の若さには負けるぜ?」 「……は? どういう意味ですか?」 「だって夏樹、イヤイヤ言っておきながら、いつも俺よりイく回数多いじゃん。俺が一回イく間に四回はイってるぞ?」 「なっ……!?」  あまりの台詞に、思わず茶碗を取り落とす。 「そ、そんなことないですよっ! 朝っぱらからなんて話をしてるんですかっ!」 「話を振って来たのはお前じゃん。それに俺、嘘はついてないし」 「先生が悪いんでしょっ! いつも俺ばっかり攻めまくって!」 「なんだ、不満なのか? じゃあ今度は役割交換してみる?」 「えっ? 役割交換……?」 「要するに、お前が俺を抱いてみるか、ってこと。どうしてもって言うならつき合ってやるぜ?」 「…………」  言われて、ちょっと想像してみた。  自分が先生にのしかかり、先生のあそこに指を突っ込んで、先生をあんあん喘がせ……。 「……おえっ」  そこまでが限界だった。  夏樹は眉間にシワを寄せながら、今想像したものを脳内から叩き出した。 「おいおい、そこまで嫌そうな顔すんなよ。ちょっと傷つくだろ」 「……すいません。でもいろんな意味で俺には無理っぽいので、このままでいいです」 「あ、そう。夏樹も練習すればイけると思ったんだけどなぁ」  ……なんで残念そうな顔をしてるんだ、この人は。

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