3 / 14
第3話
それから数週間後。
夏樹は週末を利用して市川のマンションに泊まりに行った。
土曜日が休みの週は、金曜日の放課後から市川の家にお邪魔するのが定番になっている。学校ではあまりおおっぴらにできない分、ここぞとばかりに可愛がられることが多かった。深夜から翌朝まで抱かれることもザラだ。
「……ホンットに先生は、いつも元気ですよね」
と、土曜日の朝食を食べながら嫌味を言ってやる。
「毎週のようにこんなことしてて、いい加減飽きないんですか?」
「まだ飽きないかなあ。俺も、なんだかんだ言ってまだ二十代だし。それなりに性欲も旺盛なのさ」
「威張って言うことじゃないと思いますけど」
「そうか? でも高校生の若さには負けるぜ?」
「……は? どういう意味ですか?」
「だって夏樹、イヤイヤ言っておきながら、いつも俺よりイく回数多いじゃん。俺が一回イく間に四回はイってるぞ?」
「なっ……!?」
あまりの台詞に、思わず茶碗を取り落とす。
「そ、そんなことないですよっ! 朝っぱらからなんて話をしてるんですかっ!」
「話を振って来たのはお前じゃん。それに俺、嘘はついてないし」
「先生が悪いんでしょっ! いつも俺ばっかり攻めまくって!」
「なんだ、不満なのか? じゃあ今度は役割交換してみる?」
「えっ? 役割交換……?」
「要するに、お前が俺を抱いてみるか、ってこと。どうしてもって言うならつき合ってやるぜ?」
「…………」
言われて、ちょっと想像してみた。
自分が先生にのしかかり、先生のあそこに指を突っ込んで、先生をあんあん喘がせ……。
「……おえっ」
そこまでが限界だった。
夏樹は眉間にシワを寄せながら、今想像したものを脳内から叩き出した。
「おいおい、そこまで嫌そうな顔すんなよ。ちょっと傷つくだろ」
「……すいません。でもいろんな意味で俺には無理っぽいので、このままでいいです」
「あ、そう。夏樹も練習すればイけると思ったんだけどなぁ」
……なんで残念そうな顔をしてるんだ、この人は。
ともだちにシェアしよう!