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お題『二人だけのルール』(稜而×遥)

「稜而と遥くんも、大みそかの夜に近くのお寺へ除夜の鐘を撞きに行くかい?」 父親に訊かれて遥は目を輝かせた。 「おーいえー! ジョヤの鐘ーっ! 『行け年、来い年!』でご存知のやつなのーん!」  元気よく頷いた遥は、大みそかを目前に控え、借りていた本をトートバッグいっぱいに詰めて稜而の顔を見た。 「ねぇ、キャベツ。図書館のお姉さんに『よいお年を』って言っていいの? 女性に年齢のことは言っちゃダメ?」 「『よいお年を』は、よい新年を迎えてくださいという意味だから、言っていい」 「おーいえー! 本を返して、ご挨拶して、次の本も借りてくるん! ……♪ジョヤ、ジョヤのかねは、だーれのものー! ジョヤー、ジョヤー、てーらのものー!♪」 遥はスキップして出掛けたが、一時間もしないうちに息を弾ませて帰ってきた。 「はあっ、はあっ、稜而っ、大変なのん! ジョヤの鐘、危険なのよー! 人類滅亡の危機なのん!」  ソファに座っていた稜而が片眉を上げて首を傾げると、遥は正面に回り込み、両手を振り回して喋った。 「お姉さんに教えてもらった本を読んだらね、ジョヤの鐘は、ボンノーをやっつけるんだって! ボンノーが消えちゃったら、エッチな気持ちもなくなっちゃうんだって! あいあませぶんてぃーんなのに、そんなのダメなのよー! 遥ちゃんは稜而と愛を確かめあうのー! 好き好きってセックスするのよー!」 「なるほど」  稜而はほんの少し考え、遥の手をひいて自分の膝の上に座らせた。形のいい耳へ唇を触れさせながら囁く。 「煩悩が消えたら大変だから、大みそかは除夜の鐘は撞かないで、俺が遥を突くことにする?」 くすくすという笑い声がくすぐったくて遥は肩を竦めたが、しっかりと頷いた。 「これから毎年、そうしましょうなのん。二人だけのルールなのよー!」

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