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「麻生さん、首筋弱いんだね」 「やだっ…離せ、今お前と…、こういうことしたくない…」 「俺もしないって思ってたよ。でも麻生さんが引き止めて、拒否しないから今こんなことなってるのに。ずるい、そういうこと言うの」  耳の端を舐めて囁きながら、色気なく敷かれている布団の上に、思っていたより細い体を押し倒す。 ーー やっぱりこういうことがしたかったのかな…。気持ちを向かせたいだけじゃない。突っ込んで、揺さぶって、喘がせて…。この男を?  唇を離して真上から麻生を見下ろし、柔らかい髪を撫でる。頬を上気させて睨んでくる男の目は、色に濡れていた。嫌だ、このままじゃ、本気で欲しくなる。 「どうしよ…、ロケ中あんたのこと、忘れてようと思ったのに…なんでこんな隙見せるの」 「お前はどうしてか、俺の中にどんどん入ってくるんだよ。それを嫌だと思わなくなるのが、…嫌になる」 「それは、俺のこと憎からず思ってくれてるってことでいいの?」  小さく頷いたのか、ぷいと顔を反らせたのかよくわからない返事だったが、否定はしなかった。長い間があった後、麻生が口を開いた。 「思ってなかったら、キスなんかするか、馬鹿」  こんなささやかな言葉が胸をくすぐることを手塚は初めて知った。 「あと今日…役者やめて初めて演技したんだ。この前の遊びじゃなくて本気で。お前のせいだ」  そして同じ男の言葉が心をあたたかくすることも知った。 「そういうのは『お前が背中を押してくれたんだよ』とか言うと可愛いいんですよ」  可愛くなくていいとそっぽを向くから、こちらに向けられた耳に指を沿わせ薄い耳たぶをくすぐると、すっとした頬を歪めた。そのまま首筋から綺麗に浮いた鎖骨までを上下に撫で摩る。手塚にされるがままになりながら、麻生はますます顔を歪め顎を反らせる。思わず手塚はふっと笑ってしまった。 「なんでそんな顔するんですか。もう諦めてさ、気持ちいいなら素直にイイって顔してよ。最後までしないから」 「だって明日…、お前、撮影あるだろ」 「それが一番心配なんなら大丈夫。俺体力あるから。それに明日憔悴した役だから寝不足くらいで丁度いいよ。てか、ここでやめるよりよっぽど集中できると思う」  だから他にも好きなところ教えて…と、耳元で囁いて首筋に舌を這わせると、麻生の体が舌の動きに合わせてゆっくりと波打った。

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