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 手塚は腰を撫でていた手を麻生のハーフパンツのウエスト部分から下着の中に滑り込ませる。予想よりも硬さのある麻生のものを握りこむと、「んっ…」と喉から溢れた声が手塚の耳元を甘やかにくすぐった。  数回擦り上げるだけで手の中の熱は質量を増し、先から溢れ始めた先走りをまとう。擦れた水音と麻生の切ない声が混じり合い、手塚の頭の中を揺さぶる。 「やっ…だ…っ、俺ばっかり。お前のことも、…気持ちよくしたい」  組み敷いた麻生の体が湿った火照りを伝えてくるだけで、手塚は自分のものを反応させていた。 「俺、麻生さんが気持ちよくなってるだけで、やばいよ。だからもっとよくなって」  麻生の腰にハーフパンツを濡らしてしまいそうに張り詰めた屹立を擦り付けて興奮を教えると、恥ずかしそうに目元を伏せた。  それなのにその様子とは全く違う方向の言葉が飛び出して、手塚は思わず息を呑んだ。 「口でしてやるから…来いよ」 「えっ!?麻生さんが?」  自分は体勢を変えず、手塚の腿を引いて脚を割ろうとするから、どう動いていいのかわからず戸惑い、手を止めてしまう。 「肩んとこ、跨いで」  思いもしなかった指示に、ぼぅっと上気させた麻生の顔を見つめる。 「ちょ、ちょっと待って。今更だけど確認していい?麻生さんネコだよね?」 「ネコってなんだよ?」 「……挿れられる側」 「……今日は駄目だけど、そのうちな…。早く来い」  真っ赤になって視線をそらせるから、少し萎えたところがまた熱を持ってしまった。焦れた麻生が手と足の指を器用に使って手塚の服を脱がしにかかっている。 「そーゆー発想はなかったなー。さすが麻生さん…」  ぐいぐいと太腿を両手で抱き込まれるまま、期待と羞恥に濡れた屹立を麻生の目の前に晒す。オラオラ系でもネコでもない手塚はこんな体位は経験したことがない。 ーー なんで『初めて』でこんな羞恥プレイになってんだ…?  麻生の片手の指が手塚のものに絡められ、もう逃げられないと言う気持ちになる。形のいい口が開き、顔を傾けると横向きに茎の部分を咥えられた。唇をつけたまま熱い舌が裏筋を辿り、尖端を柔らかい粘膜に含まれると思わず自分でも聞いたことのない声が漏れた。 「ひゃっ……んっ…」  そのまま深いところまで飲み込まれ、唇で引き絞る独特な感覚に腰を震わせた。包まれた中で硬くした舌先にあちこちを刺激され手塚は低く呻く。自分よりも華奢だと言っても男の腕で片足を引き寄せられているので引くこともできない。 「やっ…なにこれ…麻生さん、上手過ぎ…あっ…なんでっ…いつもこんな風にすんの?」 「こんなこと誰彼にするか。初めてに決まってるだろ。お前にしたいからだよ。大人しくされとけ」  暴力的に吐き出され、先端に唇をつけられて熱い息を押し付けられながら喋られると、手塚は堪らず腰を揺らした。

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