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「なんでっ…、最初からこんな体勢なんだよっ?」
「自分からやってやるっていくの…、恥ずかしいだろ……」
有り得ない返事に、腰を折って身悶える。そう、麻生は想像の先を行き、手塚を翻弄する男だ。体を重ねる時だってそれは変わらないらしい。
緩急をつけた手で擦られながら、尖端の割れ目を舌先で抉られ息を荒くした。硬くした全体に唇を這わせる間、手は艶かしく内腿を撫で後ろの双球まで揉みしだく。
麻生の口淫を見下ろすことで実際の刺激以上の興奮を与えられてしまっている。
もう一度奥まで含まれたうえに唇が届かない元を指で作った輪で扱かれ、喘ぐ以外できなかった。初めてだから優しくしたいのに、腰を振って喉の奥を突いてしまう。
麻生がやたら清潔感のある顔を歪ませるから、S的な趣味は全くないのに変な嗜虐心を煽られる。力強く脈打つ自分のものを口いっぱいに頬張る麻生は艶かしく、見ていられないという気持ちになるのに目を奪われる。
「やっ…あ…ぁ、も、無理っ!も、イくっ…イっちゃうから…離してっ」
こんなことをセックスで口走るのも初めてだったが、もう考える暇もないほど昇り詰めていた。
「…っんん…口の中でイけよ…飲んでやるから」
男前な麻生の言葉に欲望は反応して、すぐにでも弾けそうだ。有無を言わせず唇と舌で切羽詰まった性器を扱かれ、震えながら喘ぎを漏らす自分の口を手で抑えた。
最後の足掻きで反射的に逃れようとした瞬間、勢いで先端が飛び出し白濁を麻生の上に撒き散らしてしまう。薄い瞼もシャープな頬も薄い唇も、柔らかな髪まで手塚が盛大に放った欲望の証で濡れている。呆然と見ながら手塚は胸を喘がせた。
ーー 有り得ない…すごく大切に抱きたい相手に一方的にイかされて…その上、顔射…って。
麻生は何でもない様子で口の周りに散った粘液を舌で舐めとった。舌の動きがやたら卑猥で、経験ならそれなりに重ねたはずの手塚が恥ずかしさに倒れそうになる。
「うえ、セーエキってまずいな。勢いで飲まなくてよかった」
艶かしい様子を直視できず、急いで自分のTシャツを脱いで、麻生の顔を汚す白濁を拭いとる。脚の間を抜けるように体を起こしてきた麻生が、熱のこもった瞳で手塚を見ていた。
「俺、お前の体好きだよ」手塚の腹から胸元へ熱い手を滑らせながら麻生が言った。「常に最高のパフォーマンスのために研ぎ澄まされてる感じがする。すごい、綺麗だ」
麻生の手の下で胸がきゅうと絞られて、もうこの男に何もかも持って行かれたのだと覚悟した。気づけば自分だけが一糸まとわぬ姿を晒している。同じように素の心を見せ、掴まれてしまった。
膝立ちのまま体をずらし、麻生の体を抱き起こす。口づけるとまだ少し微妙な味がしたが、構わず貪った。素肌をまさぐりながら着ているものを全部剥ぎ取っていく。
直接互いの昂りを擦り付け合い、キスを繰り返した。ふたりの息遣いが獣じみたものに変わり、体温が上がって肌がうっすらと汗を纏っていく。
麻生をシーツの上に横たえ下肢の間に体を割り込ませると、麻生は素直に膝を開いた。熱く猛り、とっくにどろどろに濡れているふたりの屹立がぶつかり合う。それをまとめて手に握り込んだのは麻生だった。
「…あ…ぁっ…」
敏感になった部分が擦れ、手塚は思わず声をあげてしまう。
「麻生さん、積極的…」
「今度は、お前が好きに動けよ。イイ顔見せてやるから、気持ちよくして」
「…もう…あんたには敵う気がしない…」
「そんなことないよ。…お前だけが俺を揺さぶって、自由にするんだ。好きにしやがれ、どこにでも行けって」
手塚はもう一度麻生に深く口づけ、次は絶対挿れる…と、耳元で囁いた。麻生を抱くように腰をスライドさせた。
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