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「せっかく入れてもらったから、ゆっくりしようね…もー煽っちゃだめだからね」
麻生の揺れる心など知らず、手塚は小さな子供にでも言い聞かせるみたいに言う。その間もぴたりと重ねられた腰は前後に揺れていて、一番奥がずちずちと音を立てる。これ以上深くは無理なんじゃないかというほど深く男のものを埋め込まれ、喘ぎ続けるしかない。
ゆっくりとした抽送が始まると、泡立つような快感に溺れ、波のように揺れる視界の中で、手を揺らめかせ手塚を求めた。
「佳純…ぎゅって、捕まえて……」
「聖さん、大丈夫?今日感じ過ぎてるみたい」
片手の指を絡め、覆いかぶさるように強く抱きしめられ、なんだか泣きそうになる。勝手に快感を追ったっていいのに、常に麻生を気遣ってくれる手塚が愛おしい。
「…こうしてると…お前のこともっと…どんどん好きになって…気持ちいいのと、切ないのと、…ぐちゃぐちゃで…。俺の中にお前がいて、切ない顔するのが、嬉しくて…『この男は俺のだ』って思ったらだめかなって。自由なお前が、好きなのに…」
ひどく感じて興奮していて、まとまらない思考がそのまま言葉になってぽろぽろと溢れてきた。
「頭の中ぐちゃぐちゃってなってるとこに、訳わかんなくなるくらい…すごい気持ちいいやつがきて…体ごとどっか行っちゃいそうで…」
手塚は、うん…、うん…、と小さく頷き、麻生の髪を撫でながら聞いてくれる。
「……あ…なんか、喋ってたら大丈夫になってきた。もう動いてもいいよ」
大混乱の嵐が過ぎていくと急に落ち着いてきて、『今、ここ』に戻ってきたような気持ちになった。うわ言のように話したことが、ごちゃごちゃの糸が解けるようにすっきりしている。
手塚は麻生の体の横に両手をついて上体を起こし、複雑な表情を見せる。
「ほんと、あんたって人は……知ってたけど」体の中で手塚のものがとくとくんと脈打ち、存在を伝えてくる。「俺よくSっぽく見えるって言われるけど、Mなような気がしてきた…」
「どういう意味?」
「こうやって話してる間もね、あんたの中とろとろで狭いし、うねうね絡みついてて、男としてはいろいろ辛いんだよね…。なんか俺、あんたのこと相当好きみたい」
恥ずかしいことを言われているのに何だか嬉しくて、粘膜は無意識のうちに好きな男をさらに奥へと欲しがって収縮を始める。
「余計なこと考えられないように、もっとぐちゃぐちゃにしてやるよ。目の前の俺だけ見て気持ちよくなってろ!『この男は俺のだ』って思ってろよ!」
目を奪われる。心を掴まれる。そんな言葉ではもう足りない。
向かってくる鮮烈な感情に麻生は何度も打ち砕かれる。そしていつもそこに新しいものが芽生える。ぎゅっと捕らわれるのに、どこまでも自由に放たれる。
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