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「ね…、聖さん、自分で胸のとこ触ってみて」  目の前の男が突然とんでもないことを言い出すから、血流の方向が一瞬で変わった気がした。 「…なんで…っ…」 「胸突き出してんの可愛いから。…ね、後で中にたっぷりご褒美あげるから」 「なっ!いやらしい…言い方、するな…っ…馬鹿っ!信じられない…」  どうやら本気らしく、麻生の腰を支えていた手で手をとられ胸のあたりにあげられる。手塚はおねだりするみたいに「ね…」と首を少し傾げていて、麻生は『アイドル手塚め』と心の中で唸った。  すでに少し充血して突起している先に、そっと人差し指と中指で触れてみる。指先で弾くように動かすと、そこはすぐに硬さを増し膨らんだ。じっと見つめている手塚には小さな芯から広がる疼きに感づかれているだろう。 「……ぁ…」  思わず甘い声が漏れる。いつも手塚がするように、膨らみを二本の指でつまんで揉んでみる。自分でするなんて…と思っていたのに、羞恥の中で明らかな快感を捕まえて、促されなくてももう片方も自ら弄った。 「……んっ……ぁ…あ…」  疼きは胸からダイレクトにずっと揺れっぱなしの下半身にずくずくと伝わる。 「…すごい。きゅうって締め付けきつくなってく…胸弄りながら腰振って、可愛いすぎ」 「馬鹿っ…!…あっ!……んっ……」  うねる波に飲まれて、恥ずかしいことを言う男に言い返す言葉ひとつ出てこない。ひっきりなしに短いストロークで奥を突かれ、それどころじゃない。  手塚の手が腰をしっかりと捕え、下からの突き上げがどんどん強くなる。麻生は次々と湧き上がってくる快感に喉をそらせ喘いだ。 「…あっ…あ!…佳純…、佳純っ……」  揺さぶりの中で溢れかえる光に包まれる。訳がわからなくなって愛しい男を何度も呼んだ。突然、特別な物質に浸されてしまったかのように頭が真っ白になる。 「佳純…っ!」 「うん。聖さん、俺ここにいるよ」  上体を起こした手塚にぎゅっと抱きしめられると、なぜかぽろぽろと涙が溢れた。 「聖さん、大丈夫?」  何も答えられず、手塚の首元にしがみついて、肩で息をする。繋がりは全部の血流が集まってくるかのようにどくんどくんと大きく脈打っている。ちょうどふたり分、一緒に。 「ごめん、イくの止めちゃった?怖がってるみたいだったから」 「…うん…、ううん……」  ぐずぐずと泣きながら、何の返事かよく判らない声を漏らした。しっかり深く抱いたまま、濡れた頬を手塚が優しく舐めとってくれるから、混乱が去り好きな男に抱かれる気持ちよさだけが残る。 「大丈夫…お前と一緒にイきたい」  一緒にイこっか、泣かしちゃったね…と、柔らかい低い声で囁かれ、胸がきゅっと疼く。  この男が全部教えたんだ。  愛し愛されているから最高に気持ちいいのだと、自分が偉そうに言ったことは全部、この男に教えられたのだと気づく。

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