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 強く重たいストロークに手塚の動きが変わると、うねるような快感に視界が霞んだ。充たされ、穿たれ、揺さぶり上げられ、掠れるほど声を上げているのに、もっと求められたいし、もっと欲しい。  こんなに麻生を欲張りにするのは手塚だけだし、満たしてくれるのも同じ男だ。 「…聖さんっ…」  ぎゅっと抱きしめられ一番奥に放たれた飛沫を、麻生は愛しい男の体ごと全部必死で受け止めた。たっぷりと濡らされた最奥が痙攣し始めるのが自分でわかる。  手塚に呼ばれた自分の名前の響きを忘れないよう記憶に縫い留めながら、震える体でいつまでも手塚をかき抱いていた。  気がつくと、麻生を散々喘ぎまくらせた男が、ひどく優しい瞳で見ている。 「大丈夫?聖さん。いっぱい泣いちゃったね」  そう言いながら、そっと目元に唇を押しつけられる。 「うるさい」  柔らかく当たる唇と包み込むように触れる素肌の感触が嬉しいのに、麻生はちっとも可愛くない言葉を吐き出す。 「嬉しい。泣くほどよかったんでしょ?」  麻生の言葉など全く気にする様子もなく手塚は口元に穏やかな笑みを浮かべている。その唇を甘噛みして答えてやったら、じゃれつくみたいな軽いキスを返された。しばらく、くすくすと笑いながら互いにキスの報復をして戯れる。  それも落ち着くと、体も気持ちもどこか浮ついているようで、ぐったりしているようで、ふたりでくっついてシャワーを浴びにいくのをただ引き延ばしていた。いちゃいちゃというよりだらだら、ふたりシーツに沈む。 「……聖さん…」  急に手塚が抱きついてきて、麻生の胸元にくたりと頬をつけた。いつもよりまだ熱いままの手塚の息が素肌にあたり、自分の胸の鼓動がさっきより高く打っている気がする。 「聖さんが、仕事も俺自身もよかったって言ってくれて、ほんとに嬉しかった。俺、聖さんに惚れられる男でいたいから」  視線も合わせないで、体を擦り寄せてくる手塚が愛おしくて仕方ない。 「俺もだよ。佳純に惚れられたい。好きだって言われたい。そんな自分でいたいよ」  麻生は胸元に甘えるようにくっついている手塚の黒髪をゆっくりと撫でた。ふと麻生を見上げたキラキラした瞳にどきりとする。 「俺たちって幸せだね」 「うん」  手塚の言い方が随分とあっけらかんとしていて、ネジが足りないバカップルみたいだったから、麻生は笑いながら素直に頷いた。

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