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大切な 第3話
仕方ない。
僕はジョッキに入っていた残り僅かな酒を飲み干すと店員を呼んで会計を済ませる。
会計をする前にタクシーを呼んでもらっていたからお店を出ると携帯が鳴り目の前にタクシーが停車していた。
「大丈夫ですか?」
「すみません。ありがとうございます。」
タクシーの運転手さんが手を貸してくれてどうにか後部座席に押し込んだ酔っ払った親友の奏悟。
僕は運転手さんに行き先を告げるとネクタイを緩めて座席に深く座り直してため息をついて瞼を閉じた。
今まで奏悟と一緒に酒を飲んだがココまで酔い潰れるのは初めて見た。
いくら忙しいからと言っても酔うのも早かったしいつもの倍の量の酒を奏悟は飲んでいた気がする。
久しぶりに僕と飲んで気が緩んだのか?
奏悟はビールジョッキを10杯とか平気で注文して飲み干しても酔う事もないだが今日に限っては5杯目から酔い始めていた。
コイツに何があったんだよ。
「お客さん、着きましたよ。」
「すみません。」
運転手に声をかけられて僕は慌てて閉じていた瞼を開け代金を払うと運転手さんに奏悟をタクシーから降ろすのを手伝ってもらいヨタヨタと歩きながら僕の住んでいるマンションのドアの前に着いた。
さてこの難いの良い奏悟を支えて歩くのは一苦労だが仕方ない呼び掛けても起きないんだから部屋まで支えて歩くしかない。
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