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大切な 第11話
「とにかくソファに座ったら?」
「あっ、うん。すまない。」
奏悟は謝るとソファに座り膝の上で手をギュッと握りしめている。
「いい加減に、謝るのやめてくんないかな?僕と奏悟は親友でずっとこれからも仲良くしたいんだよ。」
「あっ、うん。すま・・・ありがとう。」
「はい、これ飲んで少し落ち着いたら?二日酔いとか平気な訳?飲めなさそうなら違うのにする?」
「二日酔いは平気。大丈夫だからありがとう智明。」
「うん。」
それ以上の会話はなくて沈黙が続いて聞こえてくるのは窓の外から聞こえる音だけだった。
そんな沈黙を破ったのは奏悟。
深呼吸をして向かい合わせで座っている僕の目を見た。
それはすごく真剣で何故だか僕の心臓がうるさく鳴り出している。
今までにも奏悟の真剣な顔なんて見てるのにどうしてこんな心臓がうるさくなるんだよ。
奏悟に聞こえてしまうくらいにドキドキとしていた。
「あのさ、智明は同性同士の恋愛はアリだと思うか?」
同性同士の恋愛?
僕は異性や同性を好きだとか愛してるとか考えたり思ったりした事がない。
それに嫌いだとかいう感情もないかもしれないが苦手だなとか好感が持てるといった事はある。
「僕は人を愛したり好きだとかそんな感情が抜け落ちていると思う。正直に言うと僕は誰かを好きになったり付き合った事がない。だから、同性だろうが異性だろうが好きになって付き合うとか羨ましいよ。」
「智明・・・。」
「何?」
奏悟は僕の顔を見て目を見開き驚いた表情をしていた。
それで僕は自分が言った事に気付いたキスもまだで童貞だと告白したようなもんだ。
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