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第2話-4

夕食を済ませて缶ビールを飲み、テレビをつけたまま本を読んでいると、彼は横で大きく伸びをして床の上に横になり、ササキを見上げて言った。 「オニーサン俺にもビールちょうだい」  なんだか馬鹿にしたような響きが感じられる。チラとそちらを見て、また本に目を戻した。 「冗談だろ」 「ケチくさいな」 「コーヒーあげただろ」 「お酒じゃないじゃん」 「暇なのか?」 「うん。暇」 「じゃあベッドに行こうか」  ひっと息を吸いこんで、彼は尻を押さえた。青ざめた顔で、少し震えている。 「ま、まだ痛いよ」 「そうか」  立とうとしない彼を引っ張りながら、寝室に入る。 「ちょ、あんたサカリすぎじゃない?」 「あいにく相手がいなかったんでな」 「ちょっと待って!無理!」  抱え上げてベッドの上に落とすと、彼は暴れまくった。蹴ろうとする足を掴み、体を押さえ込む。手も押さえて顔を近づけていくと、空いた方の手でぐいぐい頬を押された。足の上に体重を乗せ、もう片方の手を押さえると、唇を吸った。軽く噛む。ビクっと体をこわばらせた彼を見て、ササキは笑った。 「冗談だよ」  ほーっと息を吐き出す彼の顔の前で、ベルトを外す。 「え?」  呆然としながらその様子を見ている。ササキが何をしているのかわからないようだ。チャックを開けて取り出したものを、軽くしごいて彼の顔に押し付けた。 「じょ、冗談だって言ったよね!?」 「下が駄目なら上だろ」 「いや、ちょっと待って!」  グイグイと擦りつけると、手で払って顔を背けた。軽く震えている。 「またタダで泊まらせてもらえると思ったのか?」 「それは……」 「懲りないやつだな」  顎を押さえると、力を込めた。引っ張れば開きそうだ。 「口開けて」  ぶんぶんと頭を振るのを見て、顎を押さえる手にさらに力を込める。 「早く」  ぎりぎりと締め上げると、もうすでに涙目になりながら、渋々口を開いた。 「歯、立てたら殴るからな」  無理やり口に突っ込むと、彼は唸りながらササキの体を叩く。ゆっくり抜き出すと、観念したのか自分の手で支えた。 「どうすればいいかわからないよ」  先の方を舐めながら、上目遣いでササキを見る。こいつ天然か。 「煽ってるのか?」 「ちが……!」  ぎゅっと根元を握られて、思わず腰を引いた。 「おい」 「ごめん……ごめんってば」  顎をギリギリと押さえつけると、彼は首を振った。 「わざとじゃない!わざとじゃないって……!」  力を弱めると、ため息を吐く。チロチロと遠慮がちに舌を出して舐めているので、もう一度ため息をついた。 「そんな事してたってイかないぞ。分かってるだろ?」 「うーだって……」 「自分がされたいようにすればいい」  彼は唸りながら、ゆっくりと口に含むと、頭を上下に動かした。 「下手だな」  その言葉にササキを睨みつけると、口から抜いて「当たり前だろ」とつぶやく。しかし文句を言うわけでもなく、稚拙ながら懸命に口に含んでいる様子を見ると、軽く興奮を覚えた。  かすかに息を荒げながら、押し殺した声を出し、眉をしかめる。  すると、急に口に含むのをやめ、ササキの顔を見上げて言った。 「あんたエロい」 「上目づかいでよだれ垂らして、そんな事を言ってるお前の方がエロい。いちいち手を止めるな」  彼はカッと顔を真っ赤にして俯いた。  髪を掴んで、強引に口の中に押し込むと、黙ってまた舐めはじめた。頭が上下に揺れる度に、息が荒くなっていく。きつく目を閉じると、髪を掴む手に力がはいる。 「………………っ」  はあと大きくため息をついて、ぶるりと体を震わせると、思い切り腹を押された。 「ブホッ……ゲェホゲホッ…………うぇえ…………」  激しくむせながら、口から垂れてきたものを慌てて拭い、ササキを睨み付けた。 「酷くない?いきなり口に出すとか」  髪を掴んだままだった。無意識のうちに押さえつけていたらしい。 「ああ……悪い……」  慌ててティッシュを取ると、口から吐き出している。しかしササキは髪を軽く掴んだまま、彼の股間を凝視していた。

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