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第7話
あれからずっと手を出さないようにしていたのだが、「ねーしないの?」と何故かハルから言い出してきた。
「したいのか?」
「んー。んー……」
だんだん顔が赤くなってくる。大変なことを言ってしまったと思ったのか、俯いてしまった。
「あの、な、中、入れて擦られると気持ちいいって……」
ササキのシャツの袖をぎゅっと握って下を向いたまま、ぼそぼそと呟く。
「こないだは、恥ずかしくて……あんなこと言っちゃったけど、きょ、興味あるっていうか……」
「…………」
「優しくしてくれるなら、いいかなって……」
「…………」
「もう!なんか言ってよ!」
真っ赤な顔のまま、胸をどんと叩かれて、ササキは無言でハルを抱え上げた。
ベッドに放り投げると、耳を噛んで、首筋を噛んで、唇を吸う。舌を引っ張り出すように噛んでいると、ハルは唸りながらササキの肩を叩いた。もっと深く口づけようとするササキの顔をぐいぐいと押す。
「なんだ」
やっと離れたササキを睨みつけて、手のひらでもう一度顔を押した。
「あんた噛みすぎ!痛いんだよ!」
そう言われてハルを見下ろすと、確かに歯形がついている。
「悪い」
もう一度口づけようとすると、思い切り腹を蹴られた。
うめいて腹を押さえ、体を起こす。ハルもササキから離れて体を起こすと、じとっと睨みつけてきた。
「あんた愛撫って意味わかってるの?」
「何か違ったか?」
「あーもういいよいいよ。あんたに期待した俺がバカだった」
「優しくしろって言っただろ」
「今の優しいの?」
「優しくないのか?」
「思い切り噛みつくののどこが優しいんだよ!」
じりじりとにじり寄ると、頭を押さえて顔を近づける。
「もう一回」
唇を噛むと、思い切り噛み返された。
「痛いな」
「だから俺も痛いの!」
興奮すると本気で噛んでしまうようで、ハルはもうササキが顔を近づけることを許してくれなかった。
舌打ちする。無理やり押さえつけようかと思い手に込めた力を、ゆっくりと抜いた。
危ない危ない。また強引にするところだった。
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