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第1話-5
彼は青ざめながら、ササキの胸を殴る。弱弱しいが、たぶん本気で殴っている。手をどけることすら面倒になって、そのまま殴らせておいた。指を股間から後ろに滑らせると、ひっと息をのんで恐る恐るそちらに目をやる。
「無理だって!」
悲鳴のような声を上げて、何とか阻止しようと力いっぱい体を押してくる。黙ったままぐいぐいと指を入れようとすると、彼はササキの顎を殴った。おそらく振り回していた手が当たったのだろう。彼はさらに青ざめて手を引っ込めると、小さく「ごめんなさい」と謝った。殴り返されると思ったのか、目をきつく閉じて顔を腕でかばっている。
何も言わずに指を増やすと、また暴れだした。ため息をつきながら、片足を持ち上げる。萎えたままのそれを擦ってやるが、勃たなかった。当然か。こいつ本当に、こういうことをされるとは思っていなかったようだ。じゃあなぜ男に声をかけたのか。
肩に足を抱え込むと、指を強引に出し入れする。ひゅっと空気を吸う音が聞こえた。押し広げながら少しずつ指を増やしていく。ササキの肩を強く握り、歯を食いしばっている彼を見て、手を掴んだ。
「息吐いて」
耳元でささやく。はっはっと、荒いながらも息を吐こうとしている。
なんだ、素直じゃないか。
「ゆっくり」
ふーっふーっと次第に落ち着いてくる呼吸音。
「よくできたな」
頭をなでて頬に口づけると、彼の体の力が抜けた。思いがけず優しくされて、気が緩んだのかもしれない。
しかし、ぐっと指を奥に入れると、またうぐっとうめき声をあげて、歯を食いしばった。
時間をかけて押し広げていく間、彼はずっとすすり泣いていた。
ササキが下着をずりさげると、彼はそこから視線を外さずに、青くなってカタカタと震えだした。
「ごめんなさい。ごめんなさい。そんなの無理だから。やめて……お願い……」
「大丈夫。大丈夫だから。力抜いて。息吐いて。ゆっくり」
彼の呼吸にあわせて、じりじりと腰を進めていく。
「痛い……痛い!やめてよ……痛い!」
「静かにしろ」
また喚きだした彼の口を手でをふさいで、一気に押し込んだ。くぐもった絶叫。のけぞって枕を強くつかむ手を握る。
「もう全部入ったから。力抜いて。そうしないと、動かすと痛いぞ」
「今だって痛い……」
ぎりぎりと歯を食いしばって、体をこわばらせている。そのままの状態でしばらく待っていると、すこし呼吸が穏やかになってきた。
「動くぞ」
返事を待たずに抜き差しすると、また絶叫した。口を再び手で押さえこむと、耳元でささやく。
「じっとして。足で蹴るな」
ずっといやいやと頭を振り、涙をポロポロとこぼして、押さえられた口から悲鳴をあげる。「ごめんなさい。ごめんなさい」と謝り続けながら痛みに顔をゆがめて、時おり引きつるように喉を鳴らしている様子を見て、ぞくりとした。
ササキの呼吸が荒くなる。腰を動かす速度も速くなり、もう彼は悲鳴さえあげられない。きつく体に力をいれているのか、締め付けられてとてもいい具合だ。こみあげてきた快感に呻き、絶頂に達する。
「…………っ」
大きく息を吐いてゆっくりと抜き出すと、口をふさいでいた手を離してやった。彼は涙と鼻水とよだれを垂らして、気を失っていた。
息を荒げながら、彼を眺め、口を歪める。
たまにはこういうのも、悪くないな。
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