5 / 25

第1話-5

 彼は青ざめながら、ササキの胸を殴る。弱弱しいが、たぶん本気で殴っている。手をどけることすら面倒になって、そのまま殴らせておいた。指を股間から後ろに滑らせると、ひっと息をのんで恐る恐るそちらに目をやる。 「無理だって!」  悲鳴のような声を上げて、何とか阻止しようと力いっぱい体を押してくる。黙ったままぐいぐいと指を入れようとすると、彼はササキの顎を殴った。おそらく振り回していた手が当たったのだろう。彼はさらに青ざめて手を引っ込めると、小さく「ごめんなさい」と謝った。殴り返されると思ったのか、目をきつく閉じて顔を腕でかばっている。 何も言わずに指を増やすと、また暴れだした。ため息をつきながら、片足を持ち上げる。萎えたままのそれを擦ってやるが、勃たなかった。当然か。こいつ本当に、こういうことをされるとは思っていなかったようだ。じゃあなぜ男に声をかけたのか。  肩に足を抱え込むと、指を強引に出し入れする。ひゅっと空気を吸う音が聞こえた。押し広げながら少しずつ指を増やしていく。ササキの肩を強く握り、歯を食いしばっている彼を見て、手を掴んだ。 「息吐いて」  耳元でささやく。はっはっと、荒いながらも息を吐こうとしている。 なんだ、素直じゃないか。 「ゆっくり」  ふーっふーっと次第に落ち着いてくる呼吸音。 「よくできたな」  頭をなでて頬に口づけると、彼の体の力が抜けた。思いがけず優しくされて、気が緩んだのかもしれない。 しかし、ぐっと指を奥に入れると、またうぐっとうめき声をあげて、歯を食いしばった。 時間をかけて押し広げていく間、彼はずっとすすり泣いていた。  ササキが下着をずりさげると、彼はそこから視線を外さずに、青くなってカタカタと震えだした。 「ごめんなさい。ごめんなさい。そんなの無理だから。やめて……お願い……」 「大丈夫。大丈夫だから。力抜いて。息吐いて。ゆっくり」  彼の呼吸にあわせて、じりじりと腰を進めていく。 「痛い……痛い!やめてよ……痛い!」 「静かにしろ」  また喚きだした彼の口を手でをふさいで、一気に押し込んだ。くぐもった絶叫。のけぞって枕を強くつかむ手を握る。 「もう全部入ったから。力抜いて。そうしないと、動かすと痛いぞ」 「今だって痛い……」  ぎりぎりと歯を食いしばって、体をこわばらせている。そのままの状態でしばらく待っていると、すこし呼吸が穏やかになってきた。 「動くぞ」  返事を待たずに抜き差しすると、また絶叫した。口を再び手で押さえこむと、耳元でささやく。 「じっとして。足で蹴るな」  ずっといやいやと頭を振り、涙をポロポロとこぼして、押さえられた口から悲鳴をあげる。「ごめんなさい。ごめんなさい」と謝り続けながら痛みに顔をゆがめて、時おり引きつるように喉を鳴らしている様子を見て、ぞくりとした。  ササキの呼吸が荒くなる。腰を動かす速度も速くなり、もう彼は悲鳴さえあげられない。きつく体に力をいれているのか、締め付けられてとてもいい具合だ。こみあげてきた快感に呻き、絶頂に達する。 「…………っ」  大きく息を吐いてゆっくりと抜き出すと、口をふさいでいた手を離してやった。彼は涙と鼻水とよだれを垂らして、気を失っていた。  息を荒げながら、彼を眺め、口を歪める。  たまにはこういうのも、悪くないな。

ともだちにシェアしよう!