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第7話-3
「も……い……」
少し涙をこぼしながら、再び手を伸ばす。
「はやく。イキたい……。触らせて、お願い」
「このまま動くと痛いのはお前だぞ」
何度も頭を振って、手を伸ばす。
「やだ……も……無理……」
早く。早くと呟きながら手を伸ばし、ササキの手を掴んでそれに押し付ける。
少し触れただけで背をのけぞらせて、ササキの腰を足で引き寄せた。
ぶちり、と、理性の糸が切れた。
ぐっと奥まで押し込むと、荒い息を吐く。ハルは喉を引きつらせて、悲鳴を上げた。
「い……っ」
触れていたものがびくりと脈打つ。どくどくと精液をしたたらせながら、体をよじった。
「イった…今イったから、もうや……」
「俺はまだイってない。入れただけでイクなんていやらしいな」
ハルはまた耳まで顔を赤くして、枕を顔に押し合てた。
もう止められなかった。荒く息を吐きながら何度も抜き差しする。ハルは敏感な部分に当たる度に大きな声を上げ、一瞬萎えたものをまたそそり立たせる。
濁音まじりのうめき声をあげて、自ら押し付けるように腰を振っていた。何度も突いていると、ひと際高い声を上げて、背中をのけぞらせる。
「前、触って。触って。もう……」
しゃくりあげるように息を荒げて、ササキの手を押し付けると、もう一度声を上げて、射精した。
ひくりと締め付けられ、ササキも呻く。
ため息を吐き出すと、出し尽くすまでハルの中にいた。
涙とよだれを垂らして、荒い息を吐きながら、ハルはササキの顔を引き寄せる。むさぼるように唇を吸われ、ササキの頭で何かがはじけた。
噛むように何度も何度も口づけて、髪をなで、頬をさすり、強く抱きしめる。
ああ、もう。かわいい。かわいい。
手に入れたい。
俺だけのものにしたい。
俺だけのものに。
ううーとよだれを垂らしながら、口を開けていたハルは、急に我に返ったのか、真っ赤にした顔をササキの胸にうずめた。
かわいい。もうだめだ。無茶苦茶にしたい。
強く体を抱きしめると、ハルは細く息を吐き、うーんと唸ると、ササキの体を押して離れた。
「わ……。ドロドロ……」
夢現だった頭がはっきりしてきたのか、自分の腹の上に吐き出された精液を見つめて、起き上がろうとする。
「ちょっと、離れて!」
ぐいぐいとササキの体を押しのけると、ティッシュを手に取って少し泣きながら、腹の上をぬぐっていた。
「痛くないか?」
また抱きしめようとすると、ぐいと押しのけられた。
「ちょっと痛い……」
「悪い」
もう少し我慢すればよかったと、後悔していると、ハルが抱きついてきて胸に頭を押し付けた。
「でも……」
と、つぶやく。
「ちょっと、よかったよ」
「ちょっと?」
「……意地悪だなあ」
ハルは疲れたのか、ごろりとベッドに寝転ぶと、ササキを見て笑った。
「悪くはなかった」
照れたような笑顔が、また、ササキの理性の糸を引きちぎろうとする。
大きく息を吸って、ハルを抱きすくめた。
「もう、煽らないでくれ」
「え!?煽ってないよ!?」
抱かれるままに力を抜いたハルは、小さく声をあげて笑った。
「絶倫」
「二回も出してるお前はどうなんだ」
カッと顔を真っ赤にすると、また唸った。
「うるさいな」
愛おしすぎてめまいがする。首元に顔を押しつけて息を吸う。ハルの匂い。
全部。全部。全部欲しい。
また舌を這わそうとすると、体をぐいと押しのけられた。
「もういいよ」
あくびをして、背を向ける。うとうととしていたと思ったら、小さく寝息をたてはじめた。背中から抱きしめるようにササキも横になる。
幸せだ。
俺のものになればもっと幸せだ。
このままずっと。この時間が続けばいいのに。
そんなことは叶わないとわかっていたが、熱い思いは押さえきれない。
俺はどうしてしまったんだ。
こんなに激しく人を欲したことはない。
身を焦がすような思いを感じたこともない。
何かが壊れてしまったんじゃないのか。
俺はこのままで大丈夫なのか。
ハルを、傷つけたりしないだろうか。
急に冷たくなった体を温めるように、震える手でハルをきつく抱きしめた。
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