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プロローグ『 Welcome to Luna 』

      ―ロドンのキセキ❖プロローグ『Welcome to Luna』―        ようこそLuna(ルーナ)へ、お客様。  今回ご覧頂く物語の数々は、このLunaという世界で生まれた物語です。  それでは早速彼らの物語を――と参りたいところでございますが、このLunaという世界は皆様がお住まいの世界とは幾分か違う点がございます。  ですので、まずはこの世界について少しだけご案内させて頂きたく存じます。  もしこちらのご案内が不要なお客様がいらっしゃいましたら、どうぞこちらを飛び越え、お足元にお気をつけて物語へとお進みください。       ――さて、御移動はよろしいようですね。  それではお残り頂いたお客様へは、Luna(ルーナ)という世界について簡単なご案内させて頂きます。  この世界には、主に四つの足やヒレをもって生活し、全身は毛や鱗などで覆われた獣族と呼ばれる(けもの)族と、ヒトの体に耳や尾など、部分的に獣の性質をもつ亜人(あじん)族と呼ばれる種族が共存しております。  この二種族は敵対する事なく平和の中暮らしておりますが、その中で亜人族のみが言葉によるコミュニケーションや、科学、医療、文化などの発展を遂げて参りました。  一方獣族には、亜人族たちが築いた文化の中で生活する者もいれば、開拓されていない自然の地で暮らしている者もおります。  また、亜人族と獣族がコミュニケーションをとる事は容易ですが、獣は亜人のように言葉を持つことはなく、またヒトの形をとる事は未だにありません。  以上がこの二種族における大きな違いでございます。  そしてもう一つ、Lunaで暮らす亜人族たちには、皆様の世界と違う“名付け”の風習がございます。  この“名付け”の風習とは、亜人族が二十歳を過ぎ成人となった後、それぞれが自身にとって“たった一人の存在”として選んだ相手に、自らの“真名(まな)”を授けて貰うといった風習です。  亜人族たちは、二十歳までは育ての親より授かった幼名(ようめい)と呼ばれる名を名乗る事となっています。  二十歳以降も幼名を名乗る事はできますが、一般的には親より受け継いだ姓のみを自身の名として名乗るようになります。  また、婚姻を行う事で姓の変更を行う事も可能ですが、別姓のまま夫婦となる亜人族もおります。  この場合、子に受け継がせる姓は夫婦の中で相談し受け継がせる姓を決めるか、ある程度成長した後、子に選ばせるという家庭も珍しくはありません。  その他、子孫繁栄について強制的でないLunaにおいては、同性婚も認められており、こちらもまた珍しいものではございません。  このように、Lunaは皆様がお住まいの世界とは違う点が多々ございますので、以上を踏まえましてお客様も物語の方へとお進み下さい。  それでは、Lunaで生まれ育った亜人族たちの物語を、どうぞごゆっくりお楽しみに下さい。  行ってらっしゃいませ、お客様。

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