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第4話
* * *
饅頭を堪能した壮太は、どうやってタクローの目を盗んで、袋のなかから必要なものを取りだそうかと考える。
(そのまえに、なにがいるのかがわからないな)
タクローとヨロシクやるために、いったいなにが必要なのか。
壮太は、男同士がどうやってヤるのかを知らなかった。尻を使うというのは、わかる。具体的にどうすればいいのか、というのはわからない。
(女の場合は、濡れたら準備ができたってことなんだよな)
エロ漫画で得た知識を引き出して、壮太は考える。男の尻は濡れたりしない。濡らすためのものが必要だ。
(ローションか)
きわどいプレイをしているエロ漫画で、よく目にするアイテムを壮太は思い浮かべた。
お尻でのプレイが描かれている、エロ漫画を読んだことがある。ローションで濡らして、道具を入れていた。なにか、まるいものが連なっているバイブみたいなものだった。あとは、ふつうのバイブを入れている場合もあった。そして、いたいけな巨乳美女が、本来の受け入れ場所と尻の両方に、悪いヤツらのナニを突っ込まれて、あられもない声を上げていた。
思い出した壮太の股間が、ズキンと痛む。かなり興奮している自分に苦笑して、壮太はタクローを見た。両手で湯呑を持ち上げて、茶をすすっていたタクローがニッコリする。かわいく見えた壮太の股間が、ヤッちまおうぜと壮太の理性をそそのかした。
「タクローは、俺の願いをかなえるために来た、サンタクロースなんだよな」
慎重に言葉を選んで話しかけると、タクローは「そうだ」と答える。
「壮太の魂の叫びをかなえるために、私はここにやってきたんだよ」
「それなら、俺の望むことなら、なんだってしてもいいんだよな」
ヒクッとタクローの頬がこわばるのを、壮太は見逃さなかった。
「まだ、ふかふかの胸であったまるのに、満足できていないんだけど」
「続きが、したいのか」
うん、と子どもみたいに壮太がコックリすると、タクローはこめかみを掻いて吐息をこぼし、やれやれと腰を上げてベッドに移動した。
「あんまり、変なことはしないようにね」
「変なことって、なんだよ」
「それは……うん、まあ、いいか」
言葉を濁して目をそらしたタクローに、壮太は胸と股間をうずかせた。
(ぜったい、俺の意図をわかってて言っているよな)
ほんとうにイヤなら、自分からベッドには行かないはずだ。壮太は立ち上がり、なんでも取り出せる袋に手を伸ばした。
「あっ、それは」
タクローが腰を浮かせる。壮太は気にせず、袋のなかに手を入れた。スウッと手のひらになにかが触れて、手を出すと特大サイズのビニールシートが出てきた。
「なんだこれ」
こんなもの、必要ない。ポイッと投げてまた手を入れて、次に取り出せたものはローションだった。しかもたっぷり大容量。洗剤のボトルほどもあるそれを見て、壮太はビニールシートの使い道に思い至った。
ニイッと壮太がタクローに歯を見せると、タクローは真っ赤になった。顔に手をあててうつむいたタクローは、壮太がなにを望んでいるのか、わかっているらしい。
壮太はワクワクした。
恥ずかしがってはいるが、タクローは拒絶しない。なにせ壮太は盛大に、エロいことをしたいと神様に願ったのだから。そしてタクローは、その願いをかなえるために、やってきたのだから。
「壮太」
片手を顔にあてたまま、タクローが上目遣いをする。壮太は片手にローション、片手に袋を持って、ベッドに近づいた。
「私は、見ての通りの男だよ」
不安をにじませるタクローに、大丈夫だよと壮太は笑いかけた。
「わかっているけどさ。ふかふかの胸を触っていたら、そんなのどうでもよくなったっていうか、興奮したっていうか……タクローは、そのために来たんだよな? 俺、そういうお願い、したもんな」
壮太が念を押すと、タクローは「うっ」と喉を閉められたような声を出して、深くて重い息を吐いた。
「さあさあ、覚悟を決めて、エロ漫画みたいなことをしよう」
明るい声で壮太が誘うと、タクローは耳まで赤くしながらビニールシートを広げてベッドにかぶせ、あおむけに横たわった。好きにしてくれと言いたげな態度に、壮太は口角を持ち上げる。
「それじゃあ、まずは」
どうしようかと考えて、壮太は下着ごとズボンを脱いだ。上だけ着ているのも間が抜けているなと思い、素っ裸になる。さあてとローションのキャップを開けて、まずはここだとタクローの胸に液を垂らした。
ビクンとタクローがちいさく震える。
「冷たい? すぐに熱くなるって。たぶん、だけど」
エロ漫画でよく見るセリフを口にして、壮太はウキウキしながらタクローの腹にまたがった。壮太の息子は準備万端、いつでもどうぞ状態だ。
「自分で胸を寄せて、俺のを挟んで? ついでにしゃぶってくれると、最高なんだけど」
ニコニコしながらお願いすると、タクローは真っ赤になりながら胸筋を寄せ上げて、谷間を深くした。壮太はそこに息子を入れる。
「うおっ、ヤベェッ!」
ふんわり包まれた息子が、ギュンッと熱を上げてよろこぶ。頭の奥が快感にジンワリと痺れて、壮太はうっとりした。
「ああ、いいなぁ、これ」
挟まれただけでこんなに気持ちがいいのだから、擦ったら最高に決まっている。タクローの肩を掴んで、壮太はさっそく腰を振った。
ぬるぬると滑るローションが、ふたりの体温と摩擦の熱であたたまっていく。ほどよい圧迫と擦れる刺激に、壮太は恍惚に目を細めて雄っぱいズリを堪能した。
「はぁ……っ、すっごい……気持ちいい」
自分の手でするよりも、はるかに心地いい。やっぱ人肌は最高だと思っているうちに、壮太はあっさり絶頂を迎えた。
「うっ」
漏らした精が、タクローの顔にかかる。瞳をつややかにうるませたタクローの、上気した顔を自分の精が汚したという状況と、自分よりもはるかに体格のいい男を好きにしている興奮に、壮太の嗜虐心がくすぐられた。
愉悦の笑みをひらめかせた壮太は、タクローの顔にかかった自分の精を指で集めて、タクローの唇に寄せた。意図を察したタクローは眉根を寄せつつも、おずおずと舌を伸ばして壮太の指をしゃぶった。
ゾクゾクと、壮太の背骨が薄暗い官能に満たされる。
喜々としてされるより、とまどいながらも羞恥を抑えて従われるほうが、征服欲をかきたてられて気持ちが昂る。
壮太は指をタクローの口に突っ込んで、グチャグチャとかきまわした。
「んっふ……ぅ、ううっ」
うめきながらも指に吸いつくタクローに、壮太は獣欲まみれの息を漏らす。
「色っぽいなぁ、タクロー」
「ううっ」
彼の口から指を抜いた壮太は、タクローの胸に手をあてた。ローションでぬるぬるになった雄っぱいを揉み、乳首をつまむ。強く挟んでも、ローションのせいで乳首はツルンと指から逃げる。それでもしつこく追いかけていると、タクローの喉から淫らな声が漏れた。
「んっ、ぅう……っ、ふ……ん、ぅ」
「タクロー、乳首が感じるんだ?」
「そ、んな……ことは」
「正直に言えばいいのに」
「んぁっ」
つまんでひねれば、タクローの腰が浮いた。乗っている壮太はバランスを崩して背後に手を置く。タクローの脚の間に入った腕が、彼の股間を擦った。
「ひっ、ぁ」
壮太の手首に当たったタクローの股間は、ギンギンになっていた。壮太は後ろ手でタクローを握り、もう片手で乳首をつまんだ。
「ふ、ぁ……あ、あ」
「パイズリさせられて、興奮したんだ? タクローって、そういう趣味があるんだな」
「違……っ、これは、そうじゃなくて」
「なくて? なに」
「ううっ」
口をつぐんで顔をそむけたタクローを、壮太はかわいいと思う。気持ちに股間が呼応して、壮太はまた元気になった。
(こっから、どうしようかなぁ)
しゃぶってもらいたいところだが、もっとタクローをいじっていたい。考えた末に、壮太はいいことを思いついた。
タクローから下りて、袋に手を入れて引き出す。壮太の手には、ちいさな玉が連なった道具が握られていた。それを見て、タクローがギクリと身をこわばらせる。
「なにに使うか、知っているみたいだな」
「いや、知らない」
「じゃあなんで、引きつった顔してんだよ。素直になれって」
うりうりと道具をタクローの頬に押しつけて、壮太はニヤニヤした。しばらくうなったタクローは、道具の使い方を知っていると白状した。
「それなら、ふさわしい恰好になってくれよ」
うなずいたタクローが、うつぶせになって尻を突き出す。濡れた瞳で見つめられ、壮太はすぐにでも自分の息子をタクローの尻に突っ込んで、無茶苦茶にしたくなった。
(いやいや、さすがにそれはひどすぎる)
道具を使うのも大差ないように思えるが、欲望に目がくらんでしまった上に、エロ漫画で読んだ状況を参考にしているせいで、考え方がちょっとズレてしまった壮太は気がつかなかった。
いきりたつ息子をなだめて、壮太はタクローの尻の前に座った。
「まずは、濡らさなきゃいけないんだよな。なあ、タクロー。ちょっと自分で尻を開いてくれよ。俺、両手ふさがっちゃうからさ」
ダメ元で頼んでみたら、タクローは自分の尻を両手で左右に開いた。ティーバックの紐が尻の谷に食い込んでいる。壮太はそれをクイッと引っ張った。
「うぁっ」
パンツに股間を圧迫されたタクローが、鼻にかかった悲鳴を上げた。ゴクリと喉を鳴らして、壮太はローションをタクローの尻の谷に流した。たっぷりと垂らして、谷にあるすぼまりの奥にローションを塗りつけようと指を入れると、キュウッとすがりつかれた。
「ふはっ、ぁ……ぁん、ぅ、うう」
指を動かすと、タクローがなやましい声を上げた。
キュウキュウと吸いついてくる感覚がいじらしく思えた壮太は、ニコニコしながらタクローの尻奥をまさぐった。痛くしては申し訳ないと、ローションを追加しながら慎重にほぐしていく。
溢れるほどに注がれたローションが、収縮する内壁と指の動きにかき混ぜられて、淫靡な音を立てた。
(はぁ……ここに突っ込んだら、相当気持ちがいいだろうなぁ)
想像しながら、壮太は指でタクローの尻を味わった。ここに道具を入れるなんて、もったいない気がしたが、せっかく取り出したものを使わないのもなぁ……と、電動アナルビーズを押し込む。
「ぅ、ふぅ……んっ、は、ぁ……あっ、ああ……く、ぅう」
玉を呑み込むタクローが、ちいさくうめいた。声を抑えるタクローの姿に、壮太の股間は爆発寸前にまで高まった。埋め終えた壮太は、ひと仕事終えたとばかりに息をつき、スイッチを入れた。ブ、ブ、と電子音がして、尻から出ている部分が震える。奥ではどうなっているのか、壮太には知る由もないが、きっとうねって内壁を刺激していることだろう。タクローがシーツを握って、ビクンビクンと震えているのだから。
「タクロー。どう?」
前にまわって、壮太はタクローの顔をのぞいた。タクローは目を閉じて歯を食いしばり、小刻みに震えながら快楽に堪えている。抑えきれない嬌声が、タクローの鼻や喉からこぼれ出ていた。
(か、かわいい)
キュウンと胸を絞られた壮太は、ニヤニヤしながらタクローの顎に手をあてて顔を持ち上げた。
「タクローばっかり気持ちよくなってないでさ。俺のことも気持ちよくしてよ」
ほら、とタクローの頬を、壮太は息子でぺちぺち叩いた。道具に尻を刺激され、ちいさく震えるタクローが口を開いて壮太の息子を舌に載せる。ぬらりとした感触に、壮太は「おおうっ」と背筋を伸ばした。
「んっ、ふ……んむっ……ぅ……ん、ぅうっ、ふ、ぅ」
壮太の腰を掴んでしゃぶるタクローの口から、自分の息子がはみ出している。淫靡な状況を見下ろして、壮太は感動した。
まさかこんな光景を、目にする日が来ようとは!
クリスマス万歳と胸中で両手を上げて、壮太は快感を噛みしめた。なんてすばらしいプレゼントなんだろう。性別は違えど、ムチムチのナイスバディなエロ衣装の、料理も掃除もうまい相手であることは確かだ。下手に中性的な美青年を与えられるより、こっちのほうが振り切れているぶん、気持ちの踏ん切りもつきやすい。
(こうなったら、たっぷりとたのしんでやる!)
心に決めた壮太は、タクローの頭をガシリと掴むと彼の口内を思うさま蹂躙した。
「んぐっ、ぅ……ぅぶ、んぐっ、む、はふ……ぅうんっ、ううっ」
縦横無尽に動く壮太に、タクローは必死に食らいついてくる。そのいじらしさに、壮太の理性は崩壊した。欲望のままにタクローの口腔を突いて、精を吹き出す。
「ぅくっ」
「ぉぐっ、んっ、くふ……ぅ、ん、んんっ、ん……ぅ、ふ、ぅう」
目じりに涙を浮かべて、タクローは壮太の精を呑み込むと、筒内のものまで吸い出した。けなげな姿に、壮太は愛おしさを募らせながら、自分よりもガタイのいい男を、どうしてかわいくていじらしいと感じているのかと首をひねった。
(きっと、あれだ。でかい犬とかヒグマとか、ああいうのをかわいいって思うのとおなじようなもんだ)
女子がプロレスラーを、かわいいと言っていたことがある。きっとそういうたぐいのものだと、壮太は納得した。
タクローは、かわいい。
うんっと自分にうなずいた壮太は、タクローの髪を撫でた。長い黒髪はさらさらと気持ちいい。髪をほどきたくなって、壮太はトナカイの角に指をかけた。
「あっ、それは」
タクローがあわてて壮太の手を止める。
「ん?」
「私は、クリスマスのサンタクロースだから」
「サンタなら、その衣装だけで充分だろう? これは、トナカイの角なんだから」
「トナカイも含めての、サンタクロースなんだ」
だから取らないで欲しい。タクローの目がそう言っている。壮太は惜しみつつも、わかったと指を離した。ほっとしたタクローが顔を上げて、ビクンと震えて突っ伏した。
「どうし……ああ」
タクローの尻から、電動アナルビーズの持ち手がのぞいている。すっかり忘れていたと、壮太はタクローの背後にまわって、それを一気に引き抜いた。
「んぁああっ……は、ぁあ……ふぅ」
仰け反ったタクローの股間が濡れているのは、ローションのせいだけだろうか。独特の匂いを感じて、壮太はタクローの尻を撫でた。
「なあ、タクロー。おまえさ、道具に尻をヤられてイッた?」
直接的な問いに、タクローは答えなかった。頭を抱えてシーツに突っ伏している。
「なあ、タクローってば。タクロー」
ぺしぺしと尻を叩いても、タクローは返事をしない。壮太はムウッと唇を尖らせて、なあなあと言いながらタクローの横に寝転がり、腕の隙間からタクローの顔を見ようとした。
「答えろよ。なあ、タクロー」
腕の間に手を入れて、外そうとしてもビクともしない。自分よりもずっと太い筋肉でおおわれた腕を、そう簡単に外せるはずもないかと壮太は考え、タクローの乳首に手を伸ばした。
「な、タクロー」
「ふっ、んぅ」
クリクリと乳首をいじれば、タクローの腕の力がゆるむ。壮太はウリウリとタクローをいじりながら、顔を隠している腕を引っ張った。
「ほらほら、タクロー」
「んぁ、あっ、ぅ……んんっ、は、ぅうんっ」
抑えられた嬌声に壮太の股間に力がみなぎる。息を荒くして、壮太はタクローの耳に唇を近づけた。
「顔、見せろよ」
ビクンとおおきく震えたタクローが、そろそろと顔を壮太に向ける。涙目で真っ赤になり、唇をへの字に曲げたタクローの表情に、壮太はときめいた。
(くっそ、かわいいな!)
胸中で叫んだ壮太に、タクローはへにゃりと表情を崩して、ふたたび顔を隠した。
「あっ。なんでまた、顔を隠すんだよ」
ペしぺしと壮太が背中を叩くと、切れ切れに嗚咽が聞こえた。
「えっ、なんで? なんで泣くんだよ」
オロオロと、壮太はタクローの背中を撫でた。
「道具を入れられたの、イヤだったのか? まあ、でもそうだよな……うん、ああ、それとも、あれか。やっぱこんなこと、したくなかったとか」
フルフルとタクローは首を振る。それじゃあ、なんだよと壮太は困って、タクローの背中を撫でながら、顔を見ようと腕の隙間に鼻を近づけた。
「なあ、タクロー。どうして泣いてんだよ。イヤだったんなら、もうやめるからさ」
股間は元気にそそり立っているが、無理強いはしたくない。壮太は心からタクローを心配し、欲望のままに行動した自分を反省していた。それが声音ににじみ出て、タクローに伝わる。
「わ、私……私は」
むせび泣くタクローの背を撫でながら、壮太はどうすればいいのか考えた。袋に手を入れて、なにか道具を取り出せばいいのかもしれない。けれど壮太は泣いているタクローから、離れたくなかった。
かける言葉を見つけられない壮太は無言で、ちいさく震えるタクローの広くておおきなたくましい背中を撫で続けた。
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