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第167話
そんなこと思ったって次の日、じゃあどっか行くか!なんてことは出来なくて、結局次の週の始め、3日間の休みをもらえることになった。
「ユキ、どこ行きたい?」
「えっとぉ、うーんと…」
「これ見たい、したい、ってのないか?」
「うぅ…。あっ!……イルカさん、見たい…!」
「イルカ?水族館かぁ」
「すいぞく、かん…?」
「魚とか沢山いんの。イルカもいるぞ、ペンギンとか…」
そこにいる生き物の名前を言うと目を輝かせて「行く!」と言うユキに「じゃあ他にはどこに行きたい?」と聞いてみる。
「…うーんと…」
「来週まででいいから行きたいってところ決めて教えてくれ」
「うん…!」
さあ、これで俺も今週仕事を頑張れる。…まあ、そんなこと言っていつもあんまり働いてはいないけど。
***
「命、命…!」
晩飯後の皿洗いをしてるとユキが俺の服をクイクイ引っ張ってきて流していた水を止める。タオルで手を適当に拭いてからユキの目線の高さになるまでしゃがんだ。
「何?どうした?」
「…あの、僕…本がいっぱい読めるところ、行きたい……えっと、と…としょ…?」
「図書館?」
「あっ!図書館!…絵本をね、たくさん、読みたいの!」
「じゃあ、図書館にも行こう。」
嬉しそうににこにこ笑うユキは俺の首に腕を回して抱きついてくる。可愛いなぁとユキの背中に腕を回し立ち上がるとユキは至近距離で俺と顔を見合わせフフっと笑った。コツン、と額をくっつける。
「…命と、お出掛け…楽しみ…」
「俺も楽しみだ」
ユキと二人でいれる時間が今は何より幸せだから。
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