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第172話

「起きて、起きて」と体を揺らされたのと、顔にぷにっとした何かを当てられたと感じて目を開ける。目の前に広がったのはシロの顔。それからユキが「起きたー!」と俺の腰辺りに顔を押し付けてきた。 「…今何時?」 「今、今…5?短い針5さしてる…」 「寝すぎた」 ユキがこっちに両手を伸ばしてくる。抱っこか?と抱き上げるとその通りだったらしくて俺の首に腕を回した。 「チュー、していい…?」 「ああ」 頬にぷにっとユキの唇が触れてそれから至近距離で見つめあって、俺からユキの唇に噛みつくようにキスをした。 「…っ…はぁ…っん……」 ユキの唇を割って舌を入れると下手くそながらも俺の舌に自分の舌を絡ませてくる。 「…ふぅ…んっ…」 ユキの口の端から零れる唾液。口を離してそれを舐めとるとユキが俺をボーッと見てきた。 「ユキ?」 「んぅ…ちゅー…気持ちぃ…」 赤い顔に、涙の膜が張ったうっとりとした目。 ずくんっと下半身に熱が集まる。 「そうか。」とユキの頭をふわふわ撫でてからユキをおろして、萎えるような事を考えて息を吐いた。 「命ぉ…?」 「悪い、ちょっと待って」 「待つの?」 首を傾げるユキにハハ…っと笑って治まれ治まれ…と一人必死になっていた。 いろいろ落ち着いてから立ち上がり伸びをする俺を見て「何を待つの?」と聞いてきたユキ。 「もう待たなくていいよ」 「そうなの…?」 不思議そうにしているけれど、すぐにその表情も無くなる。 「さーて、晩飯は何にするかねぇ」 悩む俺なんて関係なしにユキはシロと話をしていた。 「明日は、図書館!図書館っ…!」 シロはユキのいつもより弾んだ声にビクッと体を震わせてから、フワッと尻尾を揺らしてユキの膝の上にちょんと座る。 結局晩飯はカレーになり、明日も食べられるなと考えると、明日のご飯を1食は作らなくていいやって楽な気持ちになった。

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