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第173話

翌日、午前はゆっくりと過ごして午後から図書館にいくことに。 「命、命っ、まだぁ…?」 「昼からだって言ったろ?」 「…お昼、まだぁ…?」 「まだ。さっき起きたばっかだろ」 むぅと頬を膨らまし不機嫌をアピールするユキ。ついつい笑って頭を撫でてやると頬がプスーと萎んでいった。 「ほら、服着替えて寝癖直すぞ」 「…僕の髪の毛、ボサボサなってる…?」 「なってる」 そう言うと自分で髪の毛をわしゃわしゃとしてさらに寝癖をひどくしていく。お前、何してんの。 「…直ったぁ…?」 「…もっとボサボサになった」 「えぇ…!」 肩をおとし俯いて頬をまた膨らませた。 「直してやるから怒るなよ」 「怒る、違うもん…」 「そうか?じゃあこの膨らんだ頬っぺは何だよ」 「…むぅ…」 膨らんだ頬を両手で挟むとユキの可愛い顔は不細工になって思わずククッと笑った。 寝癖も直し、服も着替えて図書館に来た俺たちは早速ユキが読みたいという絵本のコーナーに行き、ユキが持ってくる絵本を読んでやる。 するとそのコーナーにいた子供たちが俺とユキの周りに集まってきた。 どうやら自分達にも絵本を読んでくれるのだと周りに来たみたいだ。ユキはそれに驚いて俺の膝の上に乗り小さい子供たちから距離をとった。 「ユキ、この子達も一緒に絵本読みたいって」 「……意地悪、しない…?」 「しないよ。一緒に絵本読んでやっていいか?」 「…うん」 ユキは自分より小さな子達にもそんな心配をするのか。と少し切ない気持ちになる。 次第にその子達の母親が来て俺とユキの周りには結構な人が。 絵本を一冊読み終わる頃にはユキと子供たちは仲良くなったらしくてユキはふふっと柔らかく笑っていた。 「ねえ貴方!」 「っ!」 肩をガシッと後ろから掴まれる。驚いて振り返れば一緒に絵本を読んでいた子供たちの母親の一人だろうか、俺をジーっと見てからふんわりも笑った。 「貴方の声落ち着いてるから、子供達だけじゃなくて私たちもうっとりしちゃったわ」 「…あ、ありがとうございます…」 とりあえず礼を言って軽く笑うと両肩を掴まれ真っ直ぐにこっちを見られる。今度は何だ。 「イクメンってやつね!頑張ってね!」 「……はあ…」 応援をもらって、とりあえず笑ってその場から離れた。ユキはここからでもしっかりと見えている。何かあったらすぐに行けるし問題ないだろう。 子供たちと笑うユキ。その姿を見てると胸が締め付けられる。なぜだか酷く苦しくて。 早く二人になりてぇなぁ…なんて思ってしまった。

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