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第177話

「なあなあ、命さんもヤクザなん?」 早河と俺が話しているとソファーに手をついてぐいっと上半身をこちらに寄せてきた八神。ユキは俺の膝の上にちょこんと乗ってきた。 「…まあ、」 「へぇ、どっかにナイフ隠してたりするん?銃バーンってするん?」 「いや…」 「なーんや」そう呟いた八神はそのまま床に座った。 「ユキくんと命さんは親子ではないやろ?でもそれに似たよーな感情がある、みたいな……?……わかった!!恋人か!!」 大きな声で話し出して早河がうるさいと八神の頭をガシッと掴んだ。 「やって、さっきユキくん言うてたでー?ちゅーするって」 「…命、本当か」 …ユキ、何でキスのことを話したんだ…! 早河の鋭い目が向けられて視線を逸らすとユキが何かいけないことをしてしまったと思ったようで早河に「怒るの…?」と不安そうに聞いていた。 「怒るんじゃなくて、確認するんだよ」 「顔怒ってるやん」 「黙ってろ」 いや八神、ずっとしゃべっててくれて構わないから。そう言いたくなった。 早河に睨まれるように見られてる俺。ユキはオロオロして八神のところに走っていった。 「お前、そういう目でユキくんを見てんのか」 「…悪いかよ」 「それがどういうことかユキくんは理解してるのか。」 「どういう意味だ」 「ユキくんが大人になったら年齢なんかは関係なくなる。が、いつまでも同姓ってのがついてくる。」 世間から冷たい目を向けられる。それを俺は知っていてユキには伝えてない。 「ユキくんが理解して、それでもいいって言うなら俺はもう何も言わない」 「ああ」 「……よし、この話は終わりだ。」 ふっと軽く息を吐いた早河はユキを呼んで「怖がらせたかな?ごめんね?」と俺や八神の時とは全く違う声音と表情を見せていた。

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