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第180話

男が眠っている間に八田から聞いた話。どうやらあの男達は浅羽組を調べていたようだ。そんなところが見つかって捕まった。 あの二人のことを調べるとちょっとした情報屋だったり、金をくれるなら何でもするといった高校生。 だからあいつらに仕事を依頼した黒幕がいるのがわかり問い詰めているらしい。 そこで俺はあの話を八田にした。黒髪の男が黒幕のことを話すと妹が殺されると言っていた、と。途端八田は難しい顔をしてから舌打ちを零し、親父に話してみると暗い表情で、声で、言った。 しばらくして戻ってきた八田の表情は相変わらず。 「親父、どうしろって?」 「殺すふりをしろってさ」 「ふり?」 「話は聞き出す。けどそれがバレたらあいつの妹が殺される。それならあいつは口を割らなかった、だから殺した。そういうことにすればいい。それと、このことは親父と俺と命とあいつしか知らない。」 あいつと家族には酷だが、助かるにはそれが一番だろう。 その事を伝えにまた地下に降りる。金髪の男は情報屋らしいから一応二人を別々の部屋に行かせ、八田が黒髪の男の方に話をしに行く。 俺は正直もうどうでもいい金髪のこの男と話をすることに。何か怪しまれないように適当にこいつからも話を聞き出さないといけない。面倒臭い。 「情報屋なんて面倒臭いものによくなったな」 「……俺は…探してる、人がいて…それで…」 男の視線は定まらない。 「ああ、その探してる奴の情報を探ってたらいつの間にかいろんなところに手を伸ばして、今に至る…みたいな?」 「……はい…」 今の話は嘘なのだろう、目が泳いでて怪しすぎる。 「三回だ」 「はい…?」 「三回、嘘を吐いたら殺す」 「え…」 「もう一回吐いたからな、あと二回な。」 動揺してるのが丸分かりでクスクス笑う俺。あー、この感じ、久しぶりだ。ユキと出会う前はずっとこんなだった。 「誰に頼まれたんだ?」 「…っ」 「…質問変えるわ。その頼んできた奴等はどこかの…組の奴等か?」 「……は…い…」 「それは西の方?東の方?」 「東、です」 東の方の組……ボーッと考えながら次の質問に行こうとしたとき、コツコツと足音が聞こえてきた。現れたのは八田。 「黒沼、終わった」 「…じゃあ、あとはお前だけだな」 ニヤニヤ口元が歪む。 立ち上がり男を見下ろしながらチャカを持っている手をゆーらゆーらと揺らした。 「あ、の高校生を、殺したのか…?」 「まあな、話をしてくんねえなら必要ねえし……。ってそんなのはどうでもいいから…お前も殺されたくねえならさっさと話せ」 ふっと笑うとそれが怖かったのか男はコクコク頷いてぼそぼそと話し出した。

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