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第181話

金髪の男を解放してから幹部室に戻ると幹部はいなくて、黒髪の男が一人でそこにいた。 「お前、もう大丈夫なのか?」 「え…はい」 顔色は悪そうだけれど。風呂にも入ったらしくてその髪は少し濡れてる。また体調悪化するぞと思って「ちゃんと髪を拭け」と言うと頷いて雑に髪を拭く。 「新しい組員としてお前はここにいることになると思う。その話は八田に…俺ともう一人いただろ?そいつに聞いたか?」 「はい」 「そうか。まあそれはお前の体調がよくなってからだな。とりあえず寝ろ、医者も呼んでやるから」 仮眠室へ案内してやろうと立たせると目眩か何かで膝をついた男に溜め息を吐く。 「…えーっと…お前名前は?」 「その、名前を変えろって言われて…」 「ああ。死んでことになってるんだもんな。」 じゃあ何て呼んだらいいんだろうか。名前はこいつ自身に任せてもいいのだろうか。親父や八田から何にも聞いてないからわからなくて何にも言えない。 「名前、決まったらその時教えろ。歩けるか?」 「…ちょっと待って、もらえますか」 「んー…いいや。ソファーに寝てろ、ましになったら行けばいいし。」 肩を貸してやりソファーに寝転ばせて幹部室に常におかれてる毛布をかけてやる。少ししたら寝息をたてて眠ったこいつに相当しんどかったんじゃないか?と少し可哀想に思った。 幹部室に早河が戻ってきて一番に眉を寄せた。 「誰だこいつ」 「俺が許したんだ、寝かせてやってくれ」 「いや、誰だって聞いてるんだが…」 「親父から話があると思う。」 「そうか」 そういうと自分のデスクに戻って仕事をしだした。それから俺はトラに連絡をいれて組に来てくれるように頼んだ。 「ん…」 小さい声が聞こえてソファーの方を見ると目を覚ましたらしいあいつがボーッと天井を見ていた。 「起きたか?」 「…あ…はい…」 「待ってろ、医者来てるから呼んでくる」 呼んでくるつってもどこにいるのかはわか…った。 若の部屋からすごいうるさい声と音が聞こえてきて、呆れながらもノックして声をかけドアを開ける。するとやっぱりそこにはトラと、若と赤石と中尾がいて、トラだけ幹部室に引き摺るように連れてきた。 「どこか痛いところは無いかしら?」 「…特には」 「気持ち悪いとかは?命に聞いたけど吐いちゃったんでしょ?それから熱で三日間寝てたって」 「…大丈夫です」 「もう、嘘つかないの~!顔色悪いわ…。ちょっと命!!何で倒れたときすぐに呼ばなかったの!!」 呼ばなかったじゃなくて呼べなかったんだよ!こいつは殺すか殺すまいかってところだったんだから。なんてことは言わずに視線をそらして謝った。

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