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第185話 命side
ぷかぷか浮いてるアヒル。それを掴んで端にやるとユキが怒ってアヒルを抱き締めた。
「アヒルさん、可哀想…!意地悪しちゃダメ!」
「はいはい」
「僕の、お友達なの…!」
「わかったから、さっさと洗え」
「意地悪、ダメ…!」
しつこくアヒルに意地悪をするなと言うユキに思わず笑いが零れる。
「あ、ユキ」
頭を洗ってるユキに声をかける。
「トラがユキに会いたいって。明日行くか?」
「トラさん、寂しいしてるの…?」
「おう、ユキが来なくて寂しいって」
「んー」
泡を流してぷはっと息をしたユキは俺を見て「行く!」と笑顔で言う。頷いて手を伸ばし、ユキの頭を撫でれば嬉しそうに笑った。
風呂から上がってソファーでゆったりしていた。睡魔が襲ってきて、目を閉じる。
「命、ねんね…?」
「んー…ユキぃ…」
ユキを抱き締めてそのままソファーに寝転んだ。暖かくて柔らかいユキに触れてると気持ちいい。
ユキの頬に何度かキスをする。くすぐったくて体を捩ったユキは俺の顔を両手で包むように触れて俺の口に自分の口をくっつける。
今、このタイミングで大切なことを話すのは、違うのかもしれないけれど、心が落ち着いているから、気分が楽だと感じる。
「……ユキ、大事な話していいか?」
「うん」
「俺は、お前のことが好きだ。…でも俺は男だし、お前も男だろ?だから俺のお前を想う気持ちは世間ではまだ理解されない」
「……僕、命のこと、好きなのに、それがダメなの…?」
「ああ。」
ユキは泣きそうな顔になって寂しいのか何なのか、俺にしがみついてきて離れようとはしない。
「俺とユキがキスしてたり、必要以上にくっついてたら、周りの人たちに気持ち悪いって…おかしいって言われたりすることもあるかもしれない。けどお前がそれでもいいなら、俺はユキの隣にずっといる。ユキが好きだから」
「…命は…いいの…?」
「俺はいい」
許されるならユキと何度だってキスをするし、もう少しユキが大きくなったらセックスだってしたい。
「僕、命がいないと、やだ…」
「ああ」
「命と、一緒にいる」
そう言ってもう一度ユキから俺にキスをしてきて、嬉しさとユキが可愛いのとが重なって少し涙が出た。それをユキに見せない為にユキを強く抱き締めた。
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