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第190話

「僕、僕…命、気持ちい…ふっう…」 「ちょ、ユキ泣くなって!出るから!!」 まだ何も脱いでなかった俺はすぐにドアを開けてユキを見た。本気で泣いているユキに俺が悪いのか。と思わせられる。 「ユキー?」 「んっ、ふっ」 「泣くな」 抱きしめるとやだやだと首を振るユキにイラっとして「何が嫌なんだよ」と少し低い声で言ってしまった。それはユキを怖がらせるだけで、更に泣き出したユキにどうしたらいいかわからなくなった。 とりあえず今の俺の息子の状態じゃやってらんねえ、ととりあえず萎えることだけを考えて考えて…息子を宥めた。 ユキを抱き上げてベッドに戻る。目元が赤くなってたから濡らしたタオルを渡してそこを冷やさせた。 「俺のこと気持ちくしてくれようとしたんだよな。でも、俺は大人だから一人でできるんだよ。」 「…でもぉ…僕がしたいのぉ……」 「…ユキがもう少しお兄さんになってからだ」 「お兄さん……僕、まだお兄さん、違う…?」 「俺の言うお兄さんとは違うな」 「…うぅ…」 うぅって言うけど、それなら今俺がお前を抱こうとしたりして……俺に裸を晒して肌を触られて怖がったりしないのか。そう聞きたくなったが言葉を飲み込んだ。 「お前が好きだから、怖がらせたくねえんだよ」 「僕、命、怖くない…」 「今の俺はだろ。」 胸が苦しくなった。 *** 「おい、何でそんなに窶れてんだ」 「……早河…」 翌日の幹部室。 昨日はあのまま全然寝れなくてソファーでゴロゴロしていると早河が訝しげに俺をみてそう聞いてきた。 「今日3時間も寝れてねぇんだよ…眠たい眠たい」 「お前前までは1日に睡眠2時間でもシャキシャキ…はしてねえけど、眠たいも何も言ってなかったじゃねえかよ」 「今は違うんだよー…」 かけてた毛布を顔まで上げてさあ、眠ろう。と目を閉じると幹部室のドアがうるさい音を立てて開き、中尾と世那が入ってきた。 「おー!黒沼おっはよー。寝るのか?ならおやすみー!」 「中尾いちいちうるせえ!」 早河に怒鳴られている中尾に腕を引かれる世那はどうしたらいいのかとキョロキョロして俺と目が合うとふんわり笑い「おはようございます」と挨拶をして来た。 「世那ぁ、ちょっとは慣れたか?」 「…ちょっと、なら」 「そうか、よかったよかった。」 それだけ聞いて眠りに入ろうとする俺を「起きろ!」と起こしてくる早河。 「15分だけ…」 そう言うとソファーから蹴りおとされて渋々起きることにした。

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