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第193話
「ユキー?」
「命…やだ…、一人やだ…」
目を覚ましたユキが俺に手を伸ばす。手を掴んでユキの隣に寝転ぶと擦り寄ってきて、背中を撫でてやるとまたすぐに眠りに落ちた。一人が嫌いなユキは誰かがいないと深く眠れないのかもしれない。
明日もこんな様子だったらどうしようか。明日は世那がつくのは早河だったはずだ。山瀬組の方にはまだ手は出さないし、でかい仕事が入ってるわけでもない。
「明後日は絶対いかねえと…」
世那の面倒見ないといけないからなぁ。明日のうちに元気になってくれたらいいんだけど。
「早く良くなれよ」
ユキの髪を撫でると辛そうだった表情が少し柔らかくなったように見えた。
***
翌日にはすっかり元気になったユキ。だけれど何故か熱が出る前よりも俺に引っ付くようになった。
「ユキー?シロが寂しいってしてるぞ?」
「んん、シロくん…こっちおいで…」
俺から離れようとしなくてさすがに少し困る。「ユキー?」と声をかけてみるも足にしがみつくようにいるユキは返事をしてくれない。
「ユキ、抱っこするか?」
「する…」
腕を伸ばして俺を見上げるユキを抱き上げてそのままソファーに腰を下ろした。
「寂しいのか?」
「んん…」
「ん?どうしたよ」
「ぎゅー、して…」
言われた通りに強く抱き締めてやると俺の肩に頬をくっつけて静かに泣き出した。
「何で泣いてんだよ」
「…ん…命、好き……」
「ああ、俺も好きだよ」
「足りない、の……もっと、もっと…好き、ほしい…」
「…………」
もっと好きがほしいって?そういうこと?わからなくてハテナマークが頭の中にポンポンと浮かぶ。
「ユキ、俺に触られたいとか、触りたいって思うか?」
「…命に、触る…したい……」
「そうか、わかった。」
そうしてユキの濡れた頬にキスをした。少ししょっぱい味がしてクスッと笑うとユキと目があって、今度はユキの唇にキスをした。
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