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第196話

「世那を傷つけない方法って言われても、物理的には潰すときあっちに行かなければ大丈夫だろ。」 「ああ」 「けどもし、それで俺たち誰かが怪我をして帰ってきたらあいつは自分を責めるんじゃねえかなって。」 「……かもなぁ」 親父が日を決めるから、世那の方は俺たちで決めろと言われ親父の部屋を出て幹部室で二人悩んでいた。 「怪我しなかったら…とは言えねえしなぁ」 「どうするか…」 「世那にも話してみる。」 早河と話してるだけじゃいけない気がした。世那のことを話してるなら世那も一緒に話すべきだ、何て思ったから。 「今日は帰ったらユキといちゃいちゃする」 「宣言しなくていい。」 「お前は?八神といちゃいちゃするんだろ?」 「しねえわ。」 自分でも訳のわからないテンションになってハハッと笑うと早河に呆れられたようで深い溜め息を吐かれた。 *** 「ユキー」 「んん、命、お帰りなさい…」 トラがいるのにも構わずユキを抱きしめて頬にキスをした。ユキはフフって笑って俺の首に腕を回す。 「いちゃいちゃするなら家でしなさい」 「おう。今日もありがとな」 「いいのよ。私もユキくんといれて楽しいしね!」 トラに礼を言ってから建物を出て車に乗り家に帰るとユキは昨日と同じように俺から離れなくなった。可愛いからいいけれど。 「ユキぃ、寂しかった?」 「…うん、僕寂しい、してた…」 「そっか。今は?もう寂しくない?」 「うん、命いる…寂しい違う…」 そう言って俺の膝の上に向かい合って座る。 「明日も、お仕事ぉ…?」 「そうだな。」 「お休み、いつ…?」 「わかんねえや。」 悲しそうに口を歪めたユキはポスンと俺の肩に頬を押し付けた。 「命と、一緒がいい……」 「ああ」 「あのね…たくさん、ちゅー…したい…」 そう言ったユキは頬を赤くして俺を見た。それがあまりに可愛くて言われた通り何度もキスをする。息ができなくて苦しくなったらしいユキははふはふと荒く呼吸をして、その間にユキの肩に噛みつくように口付けて痕を残した。 「…んん…命…」 「好きだ」 「…僕、命、好き…」 グゥっと胸が苦しくなる。それはきっと近いうちにでかい仕事が待ち受けているからで。 ちゃんとユキのもとに帰れますように、ともう既にずっと祈っていた。

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