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第197話 ユキside
「命、命…僕今日ね、今日…!」
「ちゃんと聞いてるから、落ち着いて話せ」
「はい…えっと、えっと……」
話したいことはたくさんあるのに、何から話したらいいのかわからなくなっちゃって、お口が動かなくなっちゃう。むぎゅってお口を閉じると命が頬っぺを大きなお手手で包んだ。
「1つ目は、何?」
「…1つ目、は…今日、僕…トラさんとたくさんお話、して…」
「うん」
「…トラさん、シロくんにも…会いたいって…言ってたの……」
「へぇ」
「…明日、シロくんも……ダメ…?」
命に聞かれると一つ一つちゃんとお話ができて…命は魔法が使えるんだね!
「いいよ。連れていこうか。シロもずっと一人だと寂しいかもしれないし。……次の話は?」
「…ぁ……あ、わす、忘れちゃった…」
「そう?じゃあ思い出したときにまた話してくれ。」
「うん…」
優しいお顔をする命だけど、いつもより、ちょっぴり寂しそうで……命のお口にちゅーをする。
「ん、…どうした?」
「ふふっ、ちゅーする、気持ちいなるの。」
「この前は足りないって言ってなかった?」
「違うぅ、命が、気持ちいなるの。僕、まだ、足りないもん…」
「……………」
黙っちゃった命の肩に、さっきも命にされたみたいにあぐあぐってあんまり痛くないように噛みついた。
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