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第198話 命side

「ユキ?何してんだ?」 「命、僕にする…」 「…それ噛んでるだけだ。」 「んむぅ」 ユキを肩から離すと不服そうな顔をしてぺちぺちと俺の肩を叩いた。 「どうするのぉ…」 「強く吸うんだよ」 「吸う…?んー…」 もう一度肩に口付けられてきつく吸われる。眉を寄せたところでユキが俺を見上げてにっこり笑った。 「できたぁ!」 「おう、ありがとな」 「一緒…命と、一緒!」 口を両手で隠してふふっと優しく笑ったユキ。そんなときシロがニャーとユキの膝の上にぐいぐいと乗ってきた。「やっぱり寂しかったんだって。」とユキに言うと「ごめんね…?」と泣きそうな顔で謝っていた。 情緒不安定っぽいユキはシロをそっと抱きしめて目に涙を溜めだした。 「…悲しいのか?」 「ううん、何でもないの…」 「そうか、」 ユキを元気とづけるためにはどうすればいいのか。考えた結果────… 「あれ、命さんにユキくんやん!おはよぉ」 「悪い。今日ユキと遊んでやってくんねえか?」 「ユキくんとですか?いいですよ、俺ちっちゃい子大好きやから。大和はおらんけど、どうぞ~」 家にあげてくれた八神。家主がいねえのにいいのか?なんてことは早河には申し訳ないけど、早河だからどうでもよくて。 「ユキくん、悲しそうな顔してどないしたん?」 「悲しくないよ…?」 「そぉ?やってユキくん笑ってへんからさ、嫌ぁなことでもあったんかなって思ってんけど。」 「嫌な、こと…」 突然固まったユキに八神がおーい?と手を振る。はっとしたユキが八神にぎこちない笑顔を見せた。 今の一連の会話のお陰で何か嫌なことがあったのだとわかった。 八神がユキから他にも聞き出してくれたらなぁ。なんて思った俺はユキの考えていたことがそんなに重たいものだと知らなかった。

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