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第199話 ユキside

この前お熱が出たとき、嫌な夢を見た。お母さんの夢。 お母さんと一緒にいたとき、僕は熱を出しちゃってたくさん怒られたこと…覚えてる。 「ふざけないでよ!!本当面倒くさい!!」 「…ぅ…ぇ……」 熱が出て頭もガンガンするし、気持ち悪い。お腹の中のが全部出ちゃうんじゃないかって思うくらい。でも吐いちゃったりしたらお母さんがまた怒っちゃう。 たくさんたくさん我慢しておトイレに行ったら邪魔って言って僕はおトイレから無理矢理外に出され、そのままお洋服を引っ張ってお部屋の外に出された。 「…ぁ…おか、さん…おかあさ、ん…!」 お部屋のドアをどんどんして「開けて、開けて」って言うのに……玄関のドアには鍵がかかっているし、中から「うるさい!!」ってお母さんの声も聞こえた。 「…んん……寒…」 玄関のドアに背中をぴたって合わせて座る。このまま死ねたらいいのに。このまま…… ゆっくり目を閉じる───── 「ユキくん?」 「…わっ!琴くん」 目の前に琴くんのお顔があってビックリした。 「嫌なこと思い出しとったん?そんなん何も考えんでええねんで?」 「…う、ん」 「それにな、今度からそんな嫌なこと起こっても命さんがおるから大丈夫やで。命さんはユキくんのこと守ってくれるから。な?」 「命、守ってくれる…」 琴くんと僕からちょっとだけ離れたところに座ってる命をジーッとみる。命は僕に気づいてどうした?と首を傾げた。

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