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第202話
ある日、幹部ら全員が親父に呼ばれた。
親父の座る椅子の前で整列し、全員が後ろで腕を組む。この緊張した感じ。もうそろそろだとは思っていたけれど……
「三日後、山瀬組を潰すぞ。各自準備をしておけ。」
低い声で親父はそう言った。
三日後、それはもうすぐ目の前。
もしかしたらその三日後に俺はこの世にいないかもしれないのか、と思えば今まではそんなこともなかったのに、ユキがいるからだろうか、死にたくないな。と強く思った。
「三日ってすぐそこだよねぇ、どうする?俺が死んだらみっちゃん悲しむ?」
「……そりゃあな」
「ほんとにぃ?嬉しいなぁ」
にこにこ笑って俺の肩に腕を回す赤石、それを見ていた早河は眉間にシワを寄せる。
「赤石、命が悲しんで嬉しいからって手ぇ抜いて死んだりすんなよ」
「わかってるよ!俺だってまだ死にたくないさ!」
そんな会話をしている俺たちの後ろで八田と中尾が真剣に話をしている。
「今日こそはだな」
「無理だ」
「無理じゃないだろ」
「嫌だ」
中尾が八田に頼むって!と何かを願ってるみたい、何の話をしてるのかすげぇ気になるけど八田が心底嫌そうな顔をしているから聞かない方がいいのかもしれない。
「さー、俺は遺書でも書こっかなぁ。ちゃんとここに居ましたよって。忘れられるのは嫌だもんね。」
「お前いつもこういうとき遺書書いてんのか?」
「そうだよ、俺忘れられたくないもん。特に…大切な人にはね。」
赤石はケラケラと笑う、俺はそれに全く笑えなくて、少し心が震えた。
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