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第206話

ユキがクタリと俺にもたれかかり、イったばっかりの体を洗ってやってるからかビクビクと震えていてそれがまた可愛い。 「んぅ…」 「ユキ、あのさ」 「なぁに…?」 「明明後日さ、トラのところに泊まってきてほしいんだ」 「トラさん…?」 「そう、俺仕事で帰ってくんの遅くなりそうだから」 顔を歪めてから「うん…」と返事をしてくれる素直なユキに俺はたくさん嘘を吐く。 「帰ってくるの、いつ…?」 「んー、わかんねえけど…」 「…命、好き……」 「俺もユキが好きだよ」 「僕、僕…」 「んー?悪いユキ、ちょっと立てるか?」 シャワーでユキを包む泡を流す。幼いユキは何も知らない。 「明日は、一緒…?」 「仕事には行くけど、それ以外は一緒だ。」 「……僕、シロくんと、お留守番する…」 「わかった。」 ユキの寂しそうな顔を見て見ぬふりした。 「髪の毛乾かすの!」 「俺が乾かすんだろ」 「うん!」 胡座をかいてる俺の上に座るユキの、濡れた髪を拭いて指を通し暖かい風を当てる。最初こそ「あのねあのね!」と元気に話していたが途中から眠たくなってきたようでコクリと首を揺らしてる。 「ユキ、もうちょっと我慢」 「んー…」 「おいおい…」 横に倒れそうになるユキを支えて何とか乾かし終わるとユキは床に寝そべって完全に寝始める。 「ユキ、ベッド」 「…むぅ…僕、…ねむねむ…」 「ねむねむならベッド行かねえと風邪引くぞ」 「……抱っこぉ」 俺に両手を伸ばして抱っこをねだるユキを抱き上げベッドに運ぶ。俺はまだ寝てらんねえから「おやすみ」ってユキをベッドに寝かせて額にキスを落とした。 「……命…寝ないの…?」 「まだな。」 「やだぁ、一緒、寝るのぉ…!」 「あ、ちょ!おい!」 ユキに服を引っ張られてそのままユキの隣に寝転ぶ羽目になる。ユキに「待て」と言おうとすると鼻を啜るような音が聞こえてきてそれができなくなった。 「…お仕事、行かないで……」 「ユキ…?」 「行かないで…」 胸に顔を押し付けて泣き出すユキを抱き締めることしかできなかった。

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