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第207話

「あのさ」 「んっ、ぅ」 「嘘ついたままなのは嫌だから話すな」 「何…っ…?」 「…もしかしたらトラのところにお前を預けたまま……迎えに行けないかもしれない」 そう言うとユキが黙って俺を見上げた。えって言う感じで、口を開けてただ呆然としてる。 「明後日が最後になるかもしれないんだ。」 「…僕、僕のこと、嫌い…なったの…?」 「違う、お前のことは大好きだよ。愛してる。」 「…なんで…何で…!」 ユキに本当のことを話していいのかわからなくて口を閉じる。 「…僕…嫌なことした…?…ごめんなさい、でも、命が…いいの…っ…」 「違う、落ち着け」 「…やだ…命行っちゃう…ダメなの…ダメ…」 「ユキ!」 大きな声を出すとユキは静かになって震え出す。 「大丈夫だから。お前は何があってもちゃんと生きるんだぞ」 「…命、いなくなる……やだ…」 「ああ。わかってる。」 約束はできないけれど、ここに、ユキのもとに戻ってくるから。 「愛してるよ」 「ふっ、う……」 キスを交わして悲しく笑った。

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