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第209話

「ユキ、大丈夫だからちょっと離れろ。動きにくい」 「…やだぁ……」 「泣くなよ…」 ユキが足にしがみついてきて飯を作るにしても何にしても、動きにくくて正直邪魔だ。それを伝えると嫌だと泣き出してどうしたらいいのかわからなくなる。 「…ユキぃ、飯作ってる間は離れていてくれねえと危ないんだけど。」 「う、ぅ…」 「怪我するぞ?お前も俺も」 「やだぁ…」 「ならちょっと離れろ。それでシロと遊んできてくれねえか?」 渋々といった感じに俺から離れてシロのいるリビングにいくユキ。俺はさっさと飯つくってユキのところに行ってやらねえとと急いで手を動かした。 「ユキーご飯できたから運ぶの手伝ってくれないか?」 「…お手伝い……!」 急いでバタバタ走ってくるユキに笑って、「ゆっくりでいいから」とコップを二つ持たせてテーブルに置きに行ってもらう。すぐに帰ってきたからお茶と箸を持たせて俺も自分達のご飯とシロのご飯をもってテーブルに急いで置きにいった。 「いただきます…!」 「いただきます。」 少しだけ大きな声をユキが出して嬉しそうに飯を頬張る。その時に幸せそうな笑顔が見えて、やっと笑った…。と嬉しくなった。 「……今日で、バイバイなの…?」 「そうなるかもしれねえな」 「やだよぉ…やだぁ……命ぉ…」 翌日起きてすぐ、まだベッドの中で泣きじゃくるユキに「ごめん」と何度も謝る。それだけじゃあ何にもならないのに。 「……うぅ…僕、良い子…するから…」 「お前は良い子だよ。」 「命ぉ…好きなの…好き……」 「…ありがとな。俺も大好きだよ」 「…一緒がいい」 服を掴んで話してくれないユキを抱き締めて何度もキスを落とす。何度も言葉を伝えるけど、それ以上に不安が大きくて意味がない。 「ユキ…」 「…なに…っ」 「俺はちゃんと、帰ってくるよ」 口にすれば帰ってこないといけないのだと、強く思えて。 生きる覚悟を決めた。

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