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第210話

とはいっても、やっぱりユキの不安は拭える筈がなく、何を言っても離れてはくれないユキは行かないで行かないでと泣きじゃくる。 さすがに前日に休むなんてことはできない。武器の確認とかもしなきゃいけねえし。 そう思ってると一本の電話がかかってきた。それは早河からで何だよと思いながらそれにでる。 「はい」 「ユキくんはどうだ」 「離れてくんねえよ。泣いて仕方ない」 「…お前午前で自分の持つ分の確認を終わらせろ。午後は帰ってユキくんと一緒にいてやれ」 「いいのかよ」 「いい。俺も八神がうるせえから今日は早く帰るつもりだし。親父には了解を得てる。ってことで、遅刻は許さねえからな」 ブチっと一方的に電話を切られてユキに今早河としていた話をすると渋々ながらも手を離してくれて、すぐに朝御飯やらを用意して家を出る準備を済ませた。 「昼には帰ってくるからな」 「…うん……」 「いってきます」 「…いってらっしゃい……」 寂しそうな顔で手を振られて俺も手を振り返す。昼からはユキがしたがってることを一緒にしよう。 でもユキのことだからどうせ何がしたい?って聞いてもうーん、って悩んで、時間が過ぎちゃったりするんだろうな。 「…俺ららしいけど。」 車を走らせて、組に向かった。 いつもよりピリピリとしていて顔がきついものになっている組員たち。 そんな中、例外が一人。 「やっほ、みっちゃん」 「おはよ」 「もう!早河に似てきたよね!!最近眉間にシワ寄りっぱなし!!」 「うるせえ」 赤石はいつもよりもう少しおどけていて、そんな赤石と二人で幹部室に行くと組員たちよりも酷く厳しい顔をしている幹部達がいた。 「命、こっちだ」 「ああ」 幹部室に来てすぐ、早河につれられチャカなどが置いてある別の部屋に行って俺の分だと置いてあったそれを二つ手に持った。 「ナイフもどこか、バレにくいところに仕込んどけよ」 「おう」 「目的は殺すことじゃねえからな。」 「…わかってる。」 手にあるズシリとした黒いそれを握ってそりゃあ成るべく殺したくねえよ。と心で呟く。 「死ぬなよ」 「お前もな。」 薄く笑いあった。

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