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第211話
確認が終わってから世那のところにいくと体を震わせて小さくなっていた。明日が怖いのか、うまくいけば与えられる自由が楽しみなのか。俺は前者だと思うけれど。
「世那」
「っ…命、さん…」
結局こいつは誰の下についたんだっけ。それも確認しておかねえと。
「怖いのか?」
「…命さんは…怖く、ないんですか…?」
「怖いな。」
ふっと笑うと世那は驚いたように俺を見て涙を目に滲ませた。
「何で、笑えるんですか…っ、死ぬかも、しれないのに!」
「死なないかもしれないだろ」
「でもっ」
「お前はここにいれば良いんだよ。俺たちが帰って来るのを待ってればいい。例え怪我をしたやつがいたとしても、死んだやつがいたとしても、そいつらの為に笑えば良い」
「……笑、う…?」
「不謹慎かもしれねえけど…。俺は誰かが死んだら、そいつの分まで楽しく生きれるようにって思う。だから、その時は…もっと笑うんだ」
悲しくてそこに止まっていたら前には進めない。
「命さんは、強いから、そんなことが言えるんです…」
「……強い、ねえ。」
「俺は、臆病だから……」
「もしお前が本当に臆病なら、今こんな状況にはなってねえよ。」
それだけを言い残して世那と別れて、俺はさっさとユキのいる家に帰った。
「…命、命っ…!」
玄関を開けると既にそこにユキがいてもしかしてずっとここにいたんじゃないか?と少し心配になった。
「…ずっとここにいたのか?」
「…僕、シロくんと、お留守番…」
「ああ」
「命ぉ…」
足にしがみつくように腕を回され動けなくなってよしよしとユキの頭を撫でる。
「…ユキ、昼飯食うか」
「ぅん……食べる……」
「じゃあちょっと離れろ。飯作るから、な?」
俺から離れてトコトコとリビングに向かいシロを抱き締めてソファーに座ったユキをみてからキッチンに入った。
「ユキ、ほら席つけ。飯だ」
「うん…!わ!オムライス…!」
「ケチャップ自分でかけるか?」
「うん、」
ケチャップを渡してユキと対になるように席についてコーヒーを啜る。
「いただきます…!」
両手を合わせてから嬉しそうに笑いスプーンをもったユキ。可愛いなぁとクスクス笑えば「何で笑うのぉ」と頬を膨らます。
「お前が可愛いから」
「…僕、可愛い…?」
「可愛いよ。」
「…ん…ふふっ…」
嬉しそうにするユキに俺もなぜだかとても嬉しくなった。
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