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第218話
「命っ!!?」
腹が異様に熱くなる、片膝をついて腹を押さえながら、撃ってきたそいつらの両肩を狙い発砲しようと思うのに視界が霞んでうまく狙えない。
「チッ」
短い舌打ちが聞こえたかと思えば俺の後ろから乾いた音が4回聞こえて、相手の幹部達が地面でもがく姿が見えた。
「…ぅっ…」
噎せ上がってくる鉄の味。それを吐き出してそのままそこに踞った。痛みが酷くて大粒の汗がポタポタと地面に落ちていく。
「命、おい!しっかりしやがれ!」
早河の怒鳴り声がすぐそこで聞こえる筈なのに、遠い場所から声をかけられてる気がする。
背中を撫でられた途端ぐらっと体が揺れて地面に寝転んだ。
服を赤が染めていく、地面にもそれが広がって、血が足りないのか意識がふわふわとしてくる。
「何でもいい止血できるもの持ってこいっ!!親父は車に、鳥居と八田で護衛しろ!」
インカムにも同じ音声が流れてくる。早河の声が切羽詰まってて、大丈夫、俺はユキのいるところに戻らなきゃ行けねえんだから、死ぬはずがないんだって、伝えたいのに声が出ない。
言えない言葉を心で呟きながら、重たくなる瞼に逆らうことなく目を閉じた。
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