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第219話 ユキside
ビクッて背中に変な感じがした。シロくんも同じ感じがしたのかな、僕を見てジーっとしてる。
「…と、トラさん…トラさん…!」
「なぁに?どうしたの?」
「…命、大丈夫…?怪我、してない…っ?」
「え、命?…そうねえ、きっと大丈夫よ」
「…んん…大丈夫、違う…」
お胸がモヤモヤする。嫌な感じ。命に何かあったのかもしれないって思って、そわそわする僕を「大丈夫よ」と言って抱き締めるトラさんにぎゅってしがみついた。
「…ちゃんと、帰ってくる…」
「そうよ、命は帰ってくるわ」
「……うん…」
帰ってきますようにって祈るしかなかった。
突然トラさんの携帯が大きな音を出して、トラさんも、僕も、シロくんもビックリした。
「あら、早河からだわ。ちょっと待っててね」
お部屋を出てお外で早河さんと電話でお話しするトラさん。何かあったのかな、命は怪我してないか聞いてほしいなぁって思ったけど待っててって言われたからここでじっとしてないといけない。
「えっ!」
お外からトラさんの驚いたような声が聞こえてきて、それから急いでお部屋の中に入ってきたトラさんは僕を見て固まった。
「…ユキくん、落ち着いて聞くのよ?」
「うん」
「…命が、撃たれたわ。大きな病院に運んでるらしいけど、どうなるかはわからないって。」
えっ?て声もでない。トラさんの言ってることがあんまりわからなくて、首をかしげる僕をトラさんは悲しそうに見てきた。
「命のところに行きましょう。お仕事は終わったらしいから、お疲れさまって言ってあげるの」
「うん」
「おかえり、も言ってあげないとね」
トラさんに抱っこされて、荷物をもってさっさと建物を出るトラさん。
「シロくんは…?」
「お留守番、してもらうわ」
「…お留守番……」
いってきますって言うの、忘れちゃった。シロくん、寂しいしないかなぁ。
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