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第220話
トラさんに連れてこられた大きな病院。
そこには早河さんと赤石さん、それにハルくんとかっこいいおじさんが居た。
「トラさん…?命は…?」
「…命は今手術中よ」
「しゅ、じゅつ…?」
早河さんが僕の前にしゃがんで頭を撫でてくる。
「ユキくんこっちに来てくれる?」
「…はい」
早河さんにかっこいいおじさんの前に連れてこられて、おじさんは怖い顔で僕を見下ろした。
「…命が面倒見てる子供です。自己紹介できるね?」
「う、ん…」
怖い顔をしてるから、お顔を見れないけどちゃんと自己紹介はできるよ。
「…僕、ユキ、言います……」
「ああ、ユキくんだね」
おじさんは優しいお顔になって、僕のお目目の高さになるまでしゃがんでくれる。
「命は大丈夫だ。」
「大丈夫…」
「だから、ユキくんは笑顔でいるんだよ」
「うん」
ちゃんと笑顔でいれるよっておじさんに笑ってみせた。するとおじさんも優しく笑って僕の頭を撫でてから椅子に座る。
「ユーキーくん!」
「赤石さん…!」
「久しぶり~!チョコいる?食べる?あるよ」
「チョコ…!食べる…!」
四角の小さなチョコレートをもらってお口の中に放り込む、美味しくてふふって笑うと赤石さんは「よかったねえ!」と笑った。
みんながいつも通りだから、命はそんなに大変な怪我をしたんじゃないんだ!と思って、僕は何も知らないでトラさんとお手々を繋いで命を待ってた。
手術が終わったみたいで、命がお部屋から出てくる。マスクをつけて眠ってる命。お部屋に運ばれて僕は命の眠るベッドの隣の椅子に座って命が起きるのをじっと待ってた。
***
「ユキくん、今日はもう帰りましょ」
お外が暗くなり始めた頃、まだ命はお目目を開けなくて、僕も眠たくなってきちゃって。そんなときトラさんにそう言われて嫌だけど帰ることになった。
シロくんも待ってるもんね、また明日ここに来たらいいもん。トラさんにつれてきてもらおう。
「命、バイバイ…」
命のお手手をぎゅってしてからお部屋を出た。
「命、お目目覚ますの、いつくらいかなぁ」
「そうね…わからないけど、早く起きてくれたらいいわね」
「うん…」
結局命は二日後の朝に目を覚ました。
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