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第221話 命side

広がる独特な匂い、何度か嗅いだことがあるそれに引っ張られるように目を覚ます。 ピッピッと規則正しい音が鳴って、辺りを見渡すとここは病室だと気付いて眉を寄せた。 座ろうと体を動かそうとした途端腹に痛みが走ってそれを断念する。 「───あ、黒沼さん起きられたんですね!」 病室に入ってきたナースが俺を見て声をあげる。 「すぐに医師を呼んできます。それからご家族の方に連絡してきますから待っててくださいね。」 俺は何をして今ここにいるんだっけ。わからなくて考えるけど、そうすると頭が痛くなって考えることをやめた。 すぐに医者がやって来て名前を聞かれる。 「…黒沼、命」 「なぜここにいるのかわかりますか?」 「………………」 わからなくて口を閉じると医者は「大丈夫ですよ。」とニコリ微笑んで部屋から出ていった。 それからしばらくして早河と赤石、鳥居に親父に若が病室に来て、ベッドに座る俺に「よかった」と言って笑い、鳥居なんかは泣きそうになっていた。 「…あの…俺、何でこんなことになってるのか、わかんないんですけど…」 「覚えてないってのは医者から聞いたけど、本当なんだね…」 赤石が俺を見て悲しそうな顔をする。そんな顔がみたいんじゃなくて、説明をしてもらいたい。 「山瀬組を潰しに行った。俺たちが勝って、帰り際にお前は撃たれてそこで意識失ったんだよ。お前のお陰で親父には怪我がなかった。こっち側には死者も、お前ほどの重傷を負ったやつもいねえ。」 「…そうか」 早河に淡々と説明をされて、理解して。 それから鳥居が口を開く。 「早くユキくん来ないかなぁ~!昨日もずっとここで命さん起きないかなぁって待ってたんですよ~!」 「……ユキ…?…ユキって誰だよ」 「え…?」 聞いたことのない名前に、眉が寄る。 そんなとき部屋のドアが開いた。

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