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第225話 命side

退院して家に帰ってきたはいいけど、ユキとどういう風に接したらいいのかわからなくて、一定の距離を保ったまま。 「…命、命っ…あのね、シロくん明日帰ってくるの…!トラさんが連れてきてくれるって」 「シロ?」 「…真っ白な猫さん…とっても優しくてね、綺麗なの…」 俺は猫も飼っていたのか。ユキに「わかった」と返事をしてからソファーに座る。すると当たり前のようにユキは俺の膝の上に乗ってきた。 「ふふっ…」 「……俺は、いつもお前とこんな近い距離にいたのか?」 「…近い…ぎゅーしたり、ちゅーしたりするの…」 「はぁ!?」 犯罪じゃねえか!と前の自分は何をしていたんだと頭を抱える。 「僕、命とちゅー、たくさんしたの」 「嫌じゃなかったのか…?」 「嫌、違う……命、大好き」 俺の胸にスリスリと頬をあてるユキの頭をよしよしと撫でてやると、俺の顔を見上げ、目に涙をためて、泣きそうな顔になった。 「何?」 「命ね、たくさん頭撫で撫で、してくれたの…」 「ああ」 「…だから…んぅっ…」 完全に泣き出したユキを慌てて抱き上げて泣き止ませようと背中を撫でる。 「泣くなって、折角の可愛い顔が台無しじゃねえか」 「うぅ…」 「……ごめんな。ちゃんと、思い出すから…」 「ふっ…、ぇ……」 俺のせいで泣いてるのに、俺の為に泣いてくれてるのだとどこかで喜んでる自分がいる。 「大丈夫、大丈夫…」 なぜか頭の中には大丈夫の言葉だけが浮かんでいた。 夜になって、ユキと接するのに違和感はほとんど無くなってきた。 「風呂、先入るか?」 「……一人、嫌…」 「…お前一人で風呂入れないの?」 「僕、お風呂、嫌い…命と入る…」 「…わかった」 戸惑いは隠せないけれど、ユキがなるべく傷つかないように、ユキの言う通りにしてやるのが一番なんだと思って言うことを聞いて、一緒に風呂に入ることに。 「アヒルさんっ」 「好きなのか?」 「あのね、僕がお風呂、ちょっとでも嫌じゃなくなるようにって、命が買ってくれたの…」 「そっか」 ユキのために色々してたんだと思うと、俺とこいつはどういう関係だったのかとより一層不思議に思った。キスだってしてたってことは、友達って訳でもないし、ただの同居者ってわけでもない。鳥居は俺の家族だとか言ってたし。 そこまで考えて行き着く答えは恋人くらいしかなくて頭を捻る。俺に子供の恋人?違和感はあるけど別に気持ち悪いとは思わなくて、ならこれが正解なのかもしれないと自己解決をした。 「…命、お腹痛くないの…?」 「ああ、大丈夫だ。」 「大丈夫……命、たくさん大丈夫言う…」 何でも大丈夫、で片付けられるのが嫌なのかユキは頬を膨らまして俺を睨むように見た。

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