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第231話

ふんわりと浮いているような感覚。 辺りは真っ暗で何にも見えない。 突然遠くに1つだけ白く光るところがあってそこに向かってずっと歩く。その間に頭の中には映像が流れてきた。 小さなアパート。そこで男に殴られている少年、頬に拳を打ち付けられ倒れた少年の腹を蹴りあげる男。それを遠くから見て笑う女。 少年はそれを涙を流して耐えていた。 映像はそこで切り替わる。 さっきの少年は少し大きくなっていた。それと同時に男に振るわれる暴力も酷くなっていた。 そこにさっきみた女はいない。 男に首を絞められそうになった少年は突然動き出して台所にある包丁を手に取り、その男に向けた。男は謝る、悪かったと何度も謝っていた。 同じような光景が何度も何度も繰り返される。なのに、突然それは真っ白な部屋になった。 白い部屋にある白いベッドに座る少年、手首を自分の手で引っ掻いてるのか真っ赤になっている。 開けた窓から流れてくる風が気持ちよかったようで、目を閉じた彼は少しして再び目を開けベッドから降りて地面に足をつける。 窓の方に向かい、窓枠に手を置いて、体を外に乗り出している。危ない、確かここは5階だったはず。 ────5階?何で俺が知ってるんだ。 あっ、と思って目を見開く、これは俺の子供の頃の記憶だ。 このあと確か、親父に会って───… 「助け、られたんだ」 何故だか涙が出る。それからも次々に映像は流れてきた。初めて早河に会ったときの事や、初めて鳥居に、赤石に八田に中尾に会ったときの事。 早河と仲良くなるきっかけになった事件の事も、全部全部流れてきて。 それから、公園で襲われてる少年が見えた。

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