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第13話

袋を受け取り中を見るとボクサーパンツが数枚。それを確認してから「いくらだった?」と鳥居に聞く。 「三万でどうですかぁ?」 「ふざけんな」 「お駄賃くださいよぉ」 「とりあえず中に入れ。」と鳥居を部屋に招き入れる。ユキはやっぱり涙目で俺から離れようとはしない。 「み、命…?」 「ん?」 「…お、鬼さんが……いる……怖い…っ」 遂にはそう言って泣き出した。おいおいおい、どれだけ怖がってんだ。 「あれは鬼じゃねえよ」 「…鬼さん、やだぁっ…」 「あー、泣くなよっ!鳥居!!」 俺達を見てた鳥居は険しい顔をしていて面倒臭い。 「何ですかぁ」 「お前ガキじゃねえんだからそんな顔するな」 そう言うといつものヘラヘラした顔に戻して、ユキに手を振る。 「鬼じゃないよ、優しい優しいお兄さんだよぉ」 「鬼さん…違う、の…?」 「違う違う、ほら、おいで」 鳥居がしゃがんで腕を広げる。そっと地面にユキを下ろし、「ほら、行ってこい」とユキの背中を押せば戸惑いながらも鳥居の腕の中に入って行った。 「おー、ユキちゃん良い子だねぇ」 「ちゃん、違う」 「え?」 「…男の、子……僕、おちんちんあるもん…」 そう言って服の裾を捲った。 「あっ」と思った時にはもう遅く、俺は額を手で押さえて溜息を吐く。 「……本当だねぇ」 そう言いながら俺を睨みつける鳥居。 「僕、男の子」 「うんうん、わかったよ」 俺の手から袋を奪ってその中からボクサーパンツを出す鳥居。値札も全部切ってからユキに1枚下着を渡した。 「男の子はねぇ、これ履くんだよ」 「あ!おパンツ!」 鳥居から下着をもらっていそいそと履くユキ、そんな様子を眺めてた俺に今度は鳥居が溜息を吐く。 「ユキくんの服は無いんですか?」 「あー、ねえな。」 「もぉ、明日にでも買ってきますよぉ…」 「履けたぁ!」と嬉しそうに笑うユキは鳥居に大分慣れたのか自分から近づいて「見て、見て!」と服を捲り下着を見せる。 「うん、良い子だねぇ」 「えへへ」 笑うユキとそんなユキの頭を撫でる鳥居。 二人がまるで普通の兄弟のように見えた。

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