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第14話
それからしばらくして鳥居は「帰らないと」と言って立ち上がる。
「明日ユキくんの服買ってきますね、でも、渡すのは組の方でですからねぇ。親父も待ってるし…」
「わかった」
「本当にわかってますぅ?明日組に来いって事ですよ!」
「わかったって」
鳥居が帰ると聞いてユキはまた悲しそうな顔する。
「夕くん、帰るの…?」
「うん、そろそろ帰らないと、早河さんって人に怒られるんだよねぇ。俺よりもずっとずっと本物の鬼だよ」
「早河さん…?早河さん、優しいよ…?鬼、違う」
「え、会ったの?」
「うん。ちゃんと、よろしくお願い、しますって、言ったよ」
ユキに自分よりも早く早河が会っていた事を知って、態とらしく拗ねる鳥居にユキが「どうしたの…?」と聞いている。
「早河さんと俺、どっちが好き?」
「え…ぁ、えっ、と…」
「どっち?」
「…ふ、二人とも、大好き…だってね、早河さんも、夕くんも、優しいもん」
ユキの言葉に鳥居は嬉しそうに笑う。
満足したようで、やっと帰って行った。
「早河さん、夕くん…優しい」
「そうだな」
その時ちょうどユキの腹がグゥと鳴った。お腹を擦った後に俺をじっと見上げてくる。
「…飯か」
そういえばもう正午は過ぎて午後12時半。ユキと一緒にキッチンに行って冷蔵庫を開けるけど、材料何もねえし。
仕方なく冷凍庫を開けると冷凍商品があったからそれを漁る。
「ユキ、この中ので我慢してくれるか?」
「これ、何?」
「冷凍商品。これはパスタで…これがドリア、んでこれが…オムライス」
「…お、オムライス…!」
勢いよく立ち上がってオムライスを指差したユキ。
「オムライス、知ってる、卵ふわふわ…ケチャップご飯……ふふっ」
「じゃあこれ温めたら持っていくから、これ持って、椅子に座ってろ」
ユキにスプーンを渡す。
「温めるの、どうするの…?」
「電子レンジ使うんだよ。」
「でんし、れんじ?」
「ああ。ほら、椅子に座って待ってて」
オムライスを電子レンジにセットして3分間温める。その間に椅子にユキを座らせてお茶とコップを用意した。
「熱いから気を付けろよ?」
「はい」
温めたオムライスを皿にのせユキの前に置くとユキは嬉しそうに笑う。
「オムライスだぁ…!」
「ケチャップ、自分でかけるか?」
「うん!」
ケチャップを俺の手から受け取って波波線を書いていく。
「できたぁ!」
「おう、じゃあほら、飯食うときは何するんだっけ?」
そう言うと慌てて両手を合わせたユキ。
「いただきます!」
「よしよし。」
そしてまた勢いよく食べようとするのを注意して俺は俺でお茶を飲みボーッとしていた。
「命、ご飯…ない?」
「いや、俺腹減ってねえし」
「お腹、すく」
「うーん、俺はそんなことねえんだよな」
「ふーん」とオムライスを口にいれたユキは「おいしい!」と足をバタつかせた。
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