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第16話 ユキside
今日はすっごく楽しい日。ソファーに座ってお仕事をする命を見ながらそう思った。
だってね、初めてお友達が出来たの。夕くんっていって、鬼さんみたいな頭をしてるんだけど、本当はすごく優しいお兄さん。
夕くんが来る前には早河さんも来てくれて、お約束だってした。早河さんとはまだお友達になれてないけど、今度会ったときにお友達になってくれたらいいなあ。
「ふふっ」
「何?何か面白いことでもあった?」
「あのね、お友達、嬉しいの…!」
僕が眠っている間に、僕は命のお洋服を抱き締めていたみたい。そのお洋服は良い匂いがして、今もそれを抱きしめてるんだけど、僕気が付いたの。この良い匂いは命の匂いだって!
「命…匂い…」
「え?もしかして俺の服、臭い?」
「違う、好き、匂い」
急に命は怖い顔をしたけど、それがパッと消えて僕の頭を撫で撫でしてくれた。
「そっか、そりゃよかった」
「ふふっ」
────あっ!
そういえば!お昼はオムライスを食べたし、いただきますもごちそうさまもちゃんと出来た。
僕はもしかしたら、頑張ったら何でもできるのかもしれない!いつかは絵本の世界みたいに魔法を使えるようになったりするのかなぁ。
…ううん、多分、僕にはそんなに魔法を使えるようにはならない。
「ユキー?何でそんな顔してんだ」
「…魔法…僕、出来ないから…」
「は?」
命はそれを言ったっきりで、僕の方にお顔も向けてくれない。ちょっとだけ寂しくて、でもしつこいって言われるのは嫌だから、僕はそのまま、お話をするのをやめて、点いていたテレビを眺めた。
「やべぇ、家何もないんだった」
突然そう言って命は立ち上がる。
どこかのお部屋に行っちゃったから、僕は焦って追いかけた。
「もう適当で良いかぁ」
一人でお話しする命はバサリと服を脱いだ。わあ、お腹ボコボコしてる。気になってそこに触るとびっくりした命が僕の手を見てふにゃりと笑った。
「ユキ、悪い」
「何?」
「…いや、何でもない」
命がちょっとだけ泣きそうな顔になった。もしかして、どこか痛かったのかな…?でもそれはもしかしたら僕の勘違いかもしれない。だってすぐにまた僕に向かって笑ってくれたから。
それからカッコいいお洋服に着替えていく命をジッと見ていた。
「俺、買い物行くけどお前は?行きたい?」
「お外、出るの?」
「ああ、飯がないから。今日はもう何も食えないのって嫌だろ」
ご飯がない?でも僕はあんまりそれが嫌なことだって思わない。でも命がそう言うんだもん。命が買い物にいくなら、僕も行き…たくはないけど…。だってお外は怖いもん。命が僕を助けてくれた日にそれは覚えた。でも、でも、命とお買い物…
「おーい、ユキ?」
「…僕…行く…」
きっと、命がいるから怖くない。
うんうんって頷いた僕に命は頭を撫で撫でしてくれた。
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